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帰省中。
南国だけあって、それなりに暑い。とはいえ東京のように噎せ返るような暑さではないので、それほど不快な感じではない。
帰省したときの楽しみの一つとして、まともな audio set で CD が聞けるということがある。Amp は YAMAHA AX-570、CD Player は DENON DCD-1515AL、Speaker は DIATONE DSー77EX。
早速 "Dan Curtin / The Web of Life" を play。流石に良い音です。重心の低い bass drum の音がズシズシと胸の奥を突いてくる。以前はもっと線の細い album だと思っていたけれど、何の何の、これは重くて黒い作品なのだなぁと認識を新たにした次第。
母方の実家から帰ってきた。街より山中のほうが涼しかったな。持って行った au の携帯電話は見事に圏外でした(笑)。毒電波も飛んでこないようで何より何より。
叔母さんの息子二人が大きくなっていてえらい魂消た。今年で中三と中一だそうな。背丈はまだ小生のほうが勝っているけれど、体格貧弱な小生とは違って、ごっつい体になってました。はぁ、あの年頃だと体ができるのも早いんだろうなぁ。
NHK で海上自衛隊の創設秘話みたいなのをやっていたので思わず見てしまった。旧海軍の残党が、憲法第九条による縛りで軍隊作れないということを承知しながらも、海軍の復興を目論む。しかし当時の政府は軍隊には目もくれない。そこで朝鮮戦争であたふたしている米国に取り入り、「日本を対共産主義の前線基地にしてもいいから海軍作らせてくれ」みたいなことを言うわけです。んでもって、既に海上保安庁が存在しているにも関わらず、後々の海軍への基盤となるような部隊を作ろうとして海保・旧海軍・それに GHQ の役人とかで秘密会議を持って、ついに海保の別働隊みたいな感じで海上保安警備隊ができてしまって、それが現在の海上自衛隊に繋がる、と。
蓋を開けてみれば最初から軍隊作ろうとしていたのは明白で、これって憲法違反ですよねーと思いつつもその当時の power politics を鑑みると旧海軍の主張は GHQ 好みのメリケン極東支部&金は自腹とゆー構図が見え隠れして非常にヤな感じ。
でもですよ、「命を賭して国と民族を守るためには軍隊が必要だ」などと旧海軍の吉田元大佐ら旧海軍残党が仰ってて、朝鮮戦争時に掃海を行っていて事故起こした海上保安庁が「戦争なんてヤだから帰る」と言い放って日本に引き上げたときにゃあ「これだから軍隊が要るんだよ!」とゆー認識を新たにしたとの逸話が紹介されていたけれど、そうはいっても今の海上自衛隊の意識は当時の海上保安庁と同じではないでしょうかね。北朝鮮から不審船が日本領海に入ってきても素直に砲撃できないんだし。結局、旧海軍の復興を目論みつつも海軍の体質自体は新しい時代に適応して行かざるを得なかった、と。国やら民族やらで一つにまとまる時代は、太平洋戦争で終わってしまったんです。韓国はそれでも国家として纏まらないと外敵にいろいろちょっかい出されるのでぐわーっと団結するですが、日本はそれほどでもなかろうなぁというのが World Cup の感想です(って脱線しすぎ)。
せっかく実家に帰ってきたんだから、実家に置いてる CD でも review しようかいねと思って取り出したる一枚。この手の様式美 metal (と呼んでいいですか??)にはあまり食指を動かさない小生なのだけれど、なんだか評判良さそうだったので中古盤で購入した覚えがある。
んで感想はですね、middle 〜 slow tempo の曲が多いので聞いていると飽きます。個々の曲はそれなりに聴ける quality だとは思うけれど、そういう曲は例えば tv の特番の ending で流れれば「ええ曲やぁ」と思われるだろうけれど、album 1 枚ずっとこの調子だと流石に萎えるよ。とゆーわけでこれ以上語る元気はありません。
それに引き換え Soundgarden は rock してます。様式なんてないところから得体の知れない energy を鷲?みにして floor に叩きつけるのが punk 以降の rock の在り方だよぉっていうヒネクレ野郎の耳には、まだ Soundgarden の音は様式に収まりすぎていて弾けきらないようにも思うのだけれど、なんだか粘っこい横ノリの groove が Soundgarden とゆー様式の中で渦巻いているように思えるわけよ。metal に成りきれず punk に染まりきれなかった食み出しクンであるが故のネトネト感。聴いて泣きましょう。single cut もされた "Black Hole Sun" の ballad とも soul とも言えぬ変な空気感とか、続く "Spoonman" の変拍子な楽曲を様式的かつ pop に練り上げる手腕とかは凄い卓越した職人技を感じるなぁ。と考えて、ようやく彼らの視野に Zeppelin が入っていたんじゃのぅと気付いた次第である。小生も鈍いこと甚だしい。
ちなみにこの album は 1994 年作です。まだ 10 年経ってないのか。
読了。天童直己、宗像冬樹に三笠桂輔と、どこかで聞いた様な人物たちが今回繰り広げる騒動は、「仲居さんマーダーケース」。あの「ザ・ヒヌマ・マーダー」の作者である仲居さんが実は何者かに殺されたという説についてあれこれと憶測と調査を巡らす。その一方で、「ザ・ヒヌマ・マーダー」の構想を充分に練り上げた筈の仲居さんが実際に執筆できずに苦しんでいるとき、そこに濤晶夫と名乗る美少年が現れ、仲居さんの人生を狂わせていくという話が加わり、さらにそれより一回り後の時代で、仲居さんを慕う籐晶夫少年の物語も加わる。「ザ・ヒヌマ・マーダー」と称される文章が次々に現れ、フィクションとして仮想された氷沼一家には実はモデルがいるとか、仲居さんの「ザ・ヒヌマ・マーダー」の前半部は実は仲居さんではなく濤晶夫少年が書いたとか、衝撃の事実が次々に暴露される。進んでいく三つの物語は互いが互いを参照しながらウロボロス的に進んでいく。その行き着く先には、作者不在の物語、作者=器という図式で成立する『天啓の器』という小説が残るのである。
と書いてみたは良いが、こんな複雑な小説をさくさく論じられるような余裕も才能も小生にはないので今日はこの辺で逃げます。