|
久々の雨。こういう気が滅入るときは Miles の熱い album で。
1 曲目の "Dr. Jekyll" から気合い入りまくり。しかし一番の聴き所はやはり表題曲 "Milestones" か。loop する theme が格好良い。Red Garland の piano が percussive に疾走する "Billy Boy" も軽妙で良い心地。締めは Monk の "Straight, No Chaser" で、これまた渋く決めます。
この翌年に名作 "Kind of Blue" が出るのだけれど、小生は "Milestones" の方ばかり聴いているような……。いや Bill Evans は好きなんですけど、やっぱ Bop な高揚が得られやすい方に傾くのかな。
悪の親玉ケン役に津嘉山正種だ! もうこの声を聴いただけでオトナ帝国です、あはははは。とゆーのはさておき。
劇場版「クレヨンしんちゃん」は意外とオトナ向けの話が多かったりする(現代日本をコドモの視点で皮肉るとゆーパターン)が、今回はまた強烈だったなぁ。20 世紀を懐かしむ大人達を目当てにした 20 世紀博というテーマパークで昔を懐かしむオトナたち。しかしある時オトナたちは大挙してオトナであることをやめ、いきなりコドモ化してしまい、一斉に 20 世紀博に結集する。残されたコドモ達は一斉に捕らえられ、「コドモ部屋」で 21 世紀のニオイが消えるまで隔離される。しんのすけ達はそんなレイドバックしたオトナ達の魔の手を逃れ、自分たちの未来を取り戻すため戦いを始める、といったストーリー。
のっけから「ヒロシサン」とか「魔法少女みさりん」とか、仰け反ってしまう展開に大爆笑してしまうのはまぁ良いとして、「懐かしい」という感触にオトナたちが続々と飲み込まれてしまうという世界観には思わず背筋が寒くなります。「月の石」が見られず駄々をこねるヒロシ少年の過去は決して変えることができない、そしてその想いは日々の生活の中で埋没していくが、それはただ隠れただけで、静かに存在し続けている。きっかけさえあればそれは現実世界の上に噴出し、それまで築き上げた世界を打ち破って人生を飲み込んでしまうかもしれない……という、甘美で恐ろしいテーマがこの映画にはあるわけだ。ヒロシが「懐かしい世界」で、「はやく出口を教えてくれ、ここにいると懐かしさで気が狂っちまう!」と絶叫するシーンでは思わず涙がちょちょ切れます。
最後には野原一家の家族愛で世界が救われるのだけれど、だからといってこのテーマ自体が解消されたわけではないとゆーのは確か。ほら、我々の側にも、過去作品の DVD や、80's Revival な CD とかが手ぐすね引いて待ちかまえているぞ……。
Daniel Lentz と言えば、あの "Music for 3 Pianos" の……、と、また Harold Budd 繋がりになってしまって申し訳ない(笑)。
とはいえ、この作品では Lentz は楽器に触れていない。あくまで composer の立場で、演奏は Daniel Lentz Group の面々に任せている様子。全六楽章で構成され、第一楽章の "Preludium" 以降の各楽章はそれぞれ "wolf"、"bear"、"eagle"、"cougar"、そして "man" を motif にしている。勿論それぞれの動物的特徴が音に刻み込まれており、"wolf" では遠吠えが、そして "eagle" では甲高い叫びが聞こえる。
時折前面に出てくる purcussion は minimal で rhythmical な躍動感を生み出し、澄み切った蒼天を彩るような爽やかな synthe 音も、america の広大な自然を演出するかのよう。Melody line は優しく、現代音楽とは思えないほどの聴き当たりの良さを感じさせる。勿論 Reich や Riley の影響もあるだろうけれど、小生はやっぱり progressive rock みたいに聴いてしまう。
そして Jessica Karraker の声! この声の美しさと表現力にはただただ唖然とするしかない。動物の声から人間の声まで変幻自在、それでいて自分の世界もしっかり持っていて、透き通るような声から滲み出る敬虔な響きが心に染み渡るのを体感できる。
題名からも解るように、この Lentz の組曲は Mass (ミサ曲)というだけあって、敬虔な雰囲気に包まれている。しかしそれは西洋音楽のミサ曲のような大伽藍の祈りではなく、禅のように自己の闇を見つめた末の諦念でもなく、あくまで大自然と野生と人間の調和を志向する敬虔さだ。Jessica Karraker の声は、その意味ではとても wild で、多彩な表現を強要されるにもかかわらず、無理をしている印象を全く抱かせないという点で、野生児のように自然な声なのである。Vocoder を介したからといって、その魅力に傷がつくわけではないことは保証します。
この作品は Lentz の作品であると共に、Jessica Karraker の作品でもあると断言して間違いではないはず。現代音楽と聴いて思わず引いてしまう人にもお勧めの一枚。
未だ techno 熱冷めやらず……というわけで、中古屋で盤漁りしたのだけれど、一時期掃いて捨てるほどあった techno 盤は今は影も形も残ってなかったという。時代の流れなのか、店が悪かったのか。Blackmore's Rainbow とか Judas Priest とかは一杯あったんだけどね(笑)。まぁいいや。掘り出し物もあったし(どれだか解りますか?)。
techno 熱の方は、C.J. Bolland の "Electronic Highway" を ogg 化したということで少しは中和、ということにしときましょう。
お袋から「Hawaii から帰ってきた」との知らせあり。なんだか大絶賛の大感激状態だったとのこと。「日本ではいろいろと気を使わないといけないので旅行すると疲れるけれど、Hawaii では全然そんなことはなくて、みんな自然体で付き合ってくれるのでありがたかった」そうな。日本はまだまだってことかな……。
1988 年から 1995 年までの selection。初期は detroit の影響を受けまくっているなぁ。しかし 7 曲目以降は Junglist として強烈な impact を発揮している。Gerald といえばこの rhythm です。引きつれた drum、鳴動する怪しげなシンセ……こういう dark な雰囲気を出せる Junglist はそうそういませんって。
Jungle 〜 D'n'B で暗い tone ってのは、まぁありがちな pattern ではある。かつての Metalheadz 勢とか、Photek とかを連想。しかし Gerald は、彼らのような beat 特化組とはちょっと違うところに立っているような気がする。もっと emotional で soulful。そこに暗さが入り込み、妖艶な雰囲気を自ずと醸し出してしまうところが Gerald の真骨頂な訳。Detroit から発した火花が、遠い UK で鈍い光を放つ熾き火として熟成した成果がここにある。Respect!
Kirk Degiorgio の、As One 名義での 2001 年作。
小生は As One の album って、"Planetary Folklore" しか持ってない(Two World は持ってるけど)ので、どうしてもそれと比較してしまうなぁ。"Planetary Folklore" は、techno 〜 breakbeats の「怖さ」を小生に痛感せしめた一作なので、この "21st Century Soul" も実は戦々恐々として聞き始めたのであるよ。
冒頭の "Another Revolution" は、その "Planetary Folklore" を彷彿とさせる dark な breakbeats techno で、hard-boiled な格好良さと serious な凄みがひしひしと伝わってくる好 track で、やっぱり怖かった(笑)。がしかし、続く曲の数々はもっと jazz taste が強くて、fusion っぽくて、遊びが感じられる。
でも As One らしい bass の強さは相変わらず。やっぱり拘ってらっしゃる(笑)。でもその分、毒味は薄れてしまったかな。
と思っていたら、後半は怒濤の breakbeats が待っていた(笑)。