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新居昭乃の 6th album、2012 年作。VTCL-60301。
あにめの OP/ED 曲や他の artists への提供曲の self covers や新曲等が取りまとめられた album ですが、既に世界観の確立した歌い手さんですので album 通して聴いても違和感ない quality でまとめられております。produce に本人と保刈久明が携わり、佐野康夫 (ds) や堀越信泰 (g) といった馴染みの member による演奏もその統一感に拍車を掛けてます。日本のとろにか系 singer songwrighter としては間違いなく第一人者と言って良い人ではありますが、個人的には静寂を埋める歌の奏者として貴重な存在と思っています。今作では single の c/w 曲が多いからか、比較的静か目の曲が多いものの、静寂を耐えて今を生きる人のあり方を示すような曲が多いです。名作。
新居昭乃の 7th album、2012 年作。VTCL-60302。"Red Planet" と同時発売。
"Red Planet" は新曲で始まり新曲で終わる構成でしたが、"Blue Planet" は tr.1 "Flower Crown" で始まり tr.14 "ポーリーヌ、ポーリーヌ" で締めくくるという旧曲 self cover でくるんだ構成となっております。中身としても tr.5 "キミヘ ムカウ ヒカリ" と tr.7 "蜜の夜明け" の、あにめ OP で有名な 2 曲が中継ぎを張るオモテ面志向で、今までの落穂拾いも兼ねての集大成な雰囲気があります。そうした既発曲に挟まれる形の新曲は何時にも増して SF 度合いが強く、tr.2 "HAYABUSA" は件の惑星探査機、tr.3 "黄昏は未来で待つ" は Bradbury、tr.11 "Tyrell" は Blade Runner と、nostalgic な叙情 SF の風景を、simple な arrange で表現しています。shoegazer と strings が nostalgie で繋がるという世界観は、やっぱりこの人の whisper voice が筋通すから成り立つものなのでしょう。
個人的には力強い riff が印象的な tr.13 "Sophia〜白の惑星" がこの album の白眉でありました。
Susumu Yokota の 2012 年作。LCD91。
techno な trackmaker としてもう 20 年以上も活動している Susumu Yokota さんであります。20 年もあると流石に scene の浮沈は大きくあったわけですが、この人の場合はここ 10 年程は tribal な無国籍 trip sound の追究に勤しんでいて、世間の潮流なぞ気にもかけねぇという風情でしたので、その直向きな姿勢と constant な trackmaking が長続きの秘訣なのかもしれません。
この "Dreamer" では四つ打ち曲が多めなので一見 floor 回帰な印象もありますが、しかし上物はお馴染みの nomad なちんどん trip sound で、一体どこの民族音楽ですかと突っ込みたくもなる仕立てであります。音が古いのか新しいのか、そういう判断さえ俄に掴み難いという Susumu Yokota の世界観はここでも発揮されており、2012 年でも "Grinning Cat" や "Boy and Tree" の方法論は有効であるとの自己証明にもなっている、そういう album であります。いつもながらの傑作。