vol 259:真の意味





俺は地面に座って、聞く耳のある者に、

話をし始める。

今、自分たちの居る世界がどういう世界なのか。

ぞろぞろと集まりだして、

戦死者たちも俺の周りに座りだした。

戦争で、もたらした本当の意味。

他の死者たちは、どこに向かっているのか。

それぞれの国のそれぞれの話。

みんなの表情が明かに変わっていく。

希望に満ちだした。

(俺もそんな場所に行きてぇなぁ。)

(俺も。)

(わしも。)

「はは、大丈夫。誰でも行けるよ。
でも、ここに今いる人だけ行っても、
この話を知らん人は行くことできんやろ?
どうせ行くんやったら、
みんなで行こうや。」

(ですが・・・上官が戻ると、
我々は・・・。)

再び、みんなに怯えた表情が露になる。

「問題はそこや・・・。
その上官に怯えてるその心をどうにかせな。」

俺は悩んだ。

そう簡単にいくくらいやったら、

こんなにも長引いてないはずや。

(カン。)

少し離れた所に姿を見せたのは阿弥陀やった。

「阿弥陀・・・。」

阿弥陀はニッコリ笑んで、俺に近づく。

(お前は私がずっと気がかりであったことを、
現実へと向かわせてくれる。)

「え?それってどういう意味?。」

(我々はずっと、ここに通い、
皆にここから出るように話ていた。
しかし、彼らの時代には宗教などより、
天皇が神。
我々の言うことに耳をかす者は、
体罰を受け、もう耳をかさなくなる。
それでも諦めず、時折、
私がこの国に来ていたのです。)

阿弥陀の話を聞いていて、

阿弥陀の国の弟子が来るわけやなく、

阿弥陀如来じきじきに出向いてた事が伝わってくる。

阿弥陀の言葉の中で俺はふと気がついた。

「待って待って。
如来の事も神と思ってないんやったら、
戦死者の神って思ってる奴、連れて来たらどないやろ。
天皇が神で、天皇の言葉が絶対なんやったら、
当時の天皇を呼んだらええやん。
上官かて、言うこと聞くやろ。」

阿弥陀は小さく頷いた。

「知ってたん?。」

(勿論。ただ、強制で行かせる事は望ましくない。
本当に心から想い願う者、
自分の心で向かわせる事が意味のある事。)

阿弥陀は悲しい顔を見せた。

俺が提案した答えは、

戦死者にとっては、甘い蜜なんや。

自力で突破することに、

真の意味があるから。








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