vol 194:大樹





「ここは・・いったい・・・。」

目を閉じるとすぐに真っ暗な世界から、

戦場へと変わる。

ババババババ!。

ドカーーーーン!。

耳に響き渡る銃声に爆音。

辺りは火の海で逃げ回る人々。

俺はまるで、その場所のど真ん中に立っている様。

空は暗く、

なんなんだろうこの景色。

この前の災害も酷かったけど・・・、

これは全然違う。

(きゃあ!。)

少し離れた視界の中で女性が倒れた。

俺は慌てて女性に近付いて腕を掴むと、

その女性の腕の皮膚はずる剥けになり目を見開いて離す。

女性が俺に顔を向けると、

その顔の皮膚も垂れ下がり段々おぞましい姿へと変わっていった。

「っ!。」

女性のドロドロになった手は俺にしがみつく。

これは戦争?。

爆撃の音に、この人々の光景。

俺にしがみついていた女性が呻き声を上げる。

(あぁぁ・・・うぅぅ・・・。)

女性は俺の目を眼球だけの顔で見つめ、俺はしゃがみ、

「大丈夫、痛いよね。ここに居ちゃ危ないから。」

そう言ってその女性を抱き上げようと膝に腕を滑らせた。

(助けて・・・。)

(たす・・けて・・・。)

すると周りから這いずって俺の所まで来るススだらけで傷を負い、

手がちぎれている女、こども。

数が多い。俺一人じゃどうもできない。

そんな俺の視界に飛び込んで来たのは、

両足を失ったカンが両肘で這って俺の所へ来ようとしている。

「か、カン!。」

今抱き上げようとしていた女性から腕を引き抜き、

カンの元に駆け出そうとしたとき、

足を強く掴まれ地面に俺は倒れた。

「っぅ!。」

掴まれた足を見ると、

今俺が助けようとしていた女性が両手で俺の足に抱きつき、

(た・・すけて・・・たす・・け・・て・・。)

「ご、ごめん!俺の恋人が!。」

(た・・すけて・・たすけ・・て・・・。)

(たすけて・・たすけて・・。)

あちこちで俺に向かって這いずって来る人達が助けてと口にしだした。

カンを見ると、

カンは俺を見つめ、

(た・・い・・じゅ・・・。)

「かぁああああああん!。」

その自分の叫び声と共に目を覚ます。

飛び起きて辺りを見渡すが、

ただ自分の部屋。

ベッドに腰掛け、なんとも言えない気持ちで、

頭を抱えた。

俺の脳裏に焼き付いてるのは、

ずる剥けになった女性でも、

俺に助けを求めて這いずってきてた人たちでもなく、

両足を無くして血まみれのカンの姿。

カンの俺の名を呼ぶ声。

「これが修業?。」

こんなの何を判断しろって言うんだよ。




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