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vol 227:真相
肉体を抜けてあの世に行くと、
魂は心地良い気分になる。
重力やらが無い世界だからか。
その分、エネルギーの世界故に、戻った時の疲労はハンパない。
(弥勒菩薩!。)
「よぉ、久しぶり。」
俺はいろんな国で修業してたから、
俗に言う、同期な奴らにも出会う。
だが、挨拶で終ってしまう。
それは俺は生まれた時から、菩薩になる子どもで、
特別扱いを受けていたから。
ずっと勉強勉強勉強で、
仲間や友達なんて作る間もなかった。
いつも阿弥陀如来やそれぞれの国の、
治めている神の隣に立ち、
学んでいたから、周りからすれば、
遠い存在の神のひとり。
大樹やシロ、カンが初めての仲間。
(弥勒よ、私に何を聞きたいのです。)
「普賢菩薩、今人間界でおかしな事が起こっています。
神々の審判とは、
どうも違う気がするのですが。」
(どの様な事か。)
「はい。
闇の住人が霊体ではなく、そのままの姿で、
人間界に現れているのです。」
俺はこの話しを知った時、
そんな事は有り得ないと思った。
だが、これを聞いた普賢菩薩は顔色ひとつ変えない。
「私はまだ自分の目で確認はしていません。
今まで、。」
(人間界には霊体として、魂としてでしか行く事は許されなかった。
人間に取り憑き、人間の心を支配することしか出来なかった。
これが唯一、神が闇の者にも与えた自由。
そして、人間への試練のひとつ。)
「普賢菩薩、それが崩れているのです。
何がどうなっているのでしょう。」
(弥勒よ。神々が決めた事が崩れ出したと言う意味が解りますか?。)
「意味・・・。」
(神々が決めた事が崩れると言う事は、
神々の御判断故。)
神々の判断。
(今まで出来なかった事を出来るようになるなど、
闇の者にそのような力はありません。)
「ちょっと、待ってください!
じゃあ、これも神々の仕組んだ事だって言うんですか!。」
(そこまで、人間界が大きな運命の渦に入ったのです。)
「・・・。」
神々が闇の者に人間を襲わせるのを許した。
俺は歯をくいしばった。
(人間の過ちが産んだ惨物。
宇宙の神々は、天界の神のように甘くはない。
人間は、地球をこんな状態にした上に、
他の星にまで手をつけた。
宇宙でも最高に美しい地球を汚していったのだ。
その罪は重く、他の星にまでとなれば、
阻止もされるであろう。
直ぐに、生き物の命を奪わないのは、
天の子の動きと、
その仲間たちの動きの効果。
黄泉の国の神々の想い。
それが宇宙の神々の動きを抑えているのです。)
「だったら・・・闇の者は人間界で暴れ出すと言うことですか。」
普賢菩薩はゆっくり頷いた。
「知恵の神、普賢菩薩よ。
それを食い止める方法は?!。」
(弥勒よ、お前の役目とは関係のない事。
弥勒菩薩の役目に、その様な方法など必要がないではありませんか。)
「役目がなんです。
私は・・・その為だけに、人間界に居るわけじゃない。
カンや大樹やシロと、
地球を・・・人間も守りたいんです!。」
役目を放棄しようなんて一切思わない。
辛い役目で挫けそうになるのは確かでも、
主の場所に行き、
自分の辛さなど、小石の様なものだと思えた。
俺はその為に生まれ、
その為にずっと修業してきたんだ。
役目については、もう微塵も怖くはない。
ただ、その役目に関わる命を少しでも減らしたい。
そして、
闇の者が人間の命を奪う事は、
闇の者の罪が増えるということ。
カンなら、それを阻止するはず。
闇の者の為にも。
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