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vol 252:戦い前の休息
天界の方はみんな人間界に向かって散らばった。
確か阿弥陀は阿弥陀の国に集まるよう言うてた。
俺は阿弥陀の国に向かう。
「なんや・・・これ・・・。」
天界の住人とは比べられんくらいの人数。
門の前にも長蛇の列。
「すっげぇ・・・。」
(カンよ!来たのでしょう!直ぐにこちらへ!。)
阿弥陀の声がスピーカーで放送されているかのように、
響き渡る。
俺は阿弥陀の元に向かった。
「すんごいな!。」
(まだまだこの国に入れず、自分達の国で聞いている者もいます。
天界はどうです?。)
「うん。みんな出た。」
(そうですか。
皆の者!天界の方々は既に人間界に降りたそうです!
力を合わせて己の心を信じ向かってください!。)
明王や菩薩たちが何人かを連れて人間界に降りて行く。
(黄泉の国の者は天界の天使たちよりも、
こういった事には不慣れです。
元は人間。
多くの者が犠牲となり闇に落とされるでしょう。)
「うん・・・そいつらは、
俺が最後なんとかする。」
(私もその時は共に。)
阿弥陀は俺に笑んだ。
「カーーーン!。」
「大樹。弥勒もシロも。」
いつものメンバーや。
「俺達も行くか。」
「しかし、我らはこのまま行けば良いのか?。」
肉体で動くのか、魂で動くのか。
「そうやな・・・阿弥陀。」
(魂での戦いは危険です。
魂に何かあれば肉体はそのまま。
お前たちは肉体に戻り、
肉体で戦いなさい。)
「ん、わかった。」
(カン、使命を忘れずに。
闇に引きづり降ろされる者を見ても、
助けられないと思えば、堪えなさい。
時が来たときに、助ければ良いのです。
弥勒、大樹、シロ。
そなたらも同じ。
一人が見失った時に手を掴めるよう、
二人づつで行動を。)
「はい。」
「承知した。」
「うん。」
「解りました。」
それぞれが阿弥陀に返事をして肉体に戻った。
起きてから右手を見ると、
小指に嵌った白の小さな石に少し大き目な淡い水色の石の指輪。
「ミカエル・・・。」
「カン・・・ピアス?。」
隣で目覚めた大樹が俺の耳に触れた。
耳朶にはパパから貰った雫型の白の混ざった藍色の石。
少し上の縁には、
主からもらった金色に白の十字架の絵柄の輪のピアス。
「天界のみんなから貰ったんや。」
「あ!そう言えば!。」
大樹は首元の服を下に引っ張った。
翡翠のような丸い石のついたペンダント。
「俺も、これ・・・大神に貰ったんだ。」
「そっか。」
俺も大樹も笑んだ。
シロと弥勒が部屋に来る。
「我はこれを。」
シロの手首には半透明の石に光の加減で青く蛍光するブレスレット。
「俺はこれだ。」
弥勒の首には真黒の長丸い形の石のペンダント。
それぞれが、武器を授かった。
「カン・・・問題発生なんだが・・・。」
弥勒が苦笑して頭を掻きながら言う。
「なんやねん。どないしたん?。」
「それが・・・パパが腐ってきてる。」
「はぁ?!。」
俺は慌ててパパの寝ているリビングのソファーに向かった。
「ちょ・・・パパ?。」
パパの入っていたオッサンジイサンは、
色も悪く腐りかけてる。
「これ・・・状態からして、もうお父様はこの人間には、
入っていないって事だよね。」
大樹が様子を見て言った。
「どうするのだ・・・。」
シロは眉を下げて呟く。
「どうするって・・・おいぃいいいいい!。」
パパ・・・後始末までちゃんとしろ。
ビニールシートを買って来て、
遺体を包んで夜中になってから車に乗せる。
山に寝かせるしかない。
「こんなん、まるで俺らが殺して捨てに行くみたいやん。」
「はは、そうだね。」
「闇の者よりも厄介な仕事だ。」
「うむ・・・。」
その時、急に後部座席の弥勒とシロの間に座らせている、
ビニールシートの遺体が動き出した。
「うぉ!。」
弥勒の声に運転手の大樹がブレーキを踏み、
「なに!どうしたの!。」
ガサガサとビニールシートが動く。
「おいおいおいおい!なんやねん!。」
弥勒もシロも両ドアに背中を目一杯ひっつけ、
ビニールシートから遺体が顔を出した。
パパが中に入っていた時のように、腐敗もない顔で。
「ハァハァ・・・いやぁ、苦しかった。」
「ぱ・・・パパ?。」
俺が声をかけるとオッサンジイサンは笑み、
「おぉ、我が娘よ!。」
「パパ!。」
少し4人でホッとした。
死体が動いたとなれば、それはそれで厄介や。
「わしはわしの仕事をしようと上でしていたのだが、
すっかり、この肉体のことを忘れておってなぁ。
いやぁ~、すまなかった。」
「はぁ~・・・俺ら危うく犯罪者に片足突っ込んだわ。」
「はっはっは!案ずるが良い。
この遺体は、わしが元の場所に移動させてから、
抜けるとする。」
「そうですか・・・。
あの、近くまで送ります。」
大樹が気をきかして、元々この遺体のあった場所の近くまで、
車を走らせた。
そこでパパを降ろしてから、
家に戻る。
「おし!もっかい寝て、明日の朝から行動開始や。
身近なとこから闇に還して行こう。」
4人はベッドに横になり、
戦い前の体調を整えた。
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