vol 180:プロポーズ






洗濯物を取り入れて、すっかり家事に励む大樹。

なんや、ほのぼのしてて和む。

夜中に主が来て話した事。

俺の頭の中はいっぱいいっぱいなんやけど、

でも、漠然としてて何を考えても、

考えつかへん状態。

やるべき事も、これや!って事が浮かぶわけでもなく、

ただ、漠然としてる。

「なぁ~大樹ぅ~。」

「ん~?。」

「今日デートでもしよっか。」

TVのニュースを見つめて今思ったことを言うてみた。

「え?。」

大樹は洗濯物をカゴに入れて俺の隣に腰掛け、

顔を覗き込む。

「カン・・・どうしたの?。」

「ん~?。」

「珍しい。デートって。」

普段自分からデートって言葉も使わんし、

時間があったらパソコンで調べたりしてるから。

「嫌やったらえぇんやけど。」

大樹は慌てて言う。

「い、嫌なわけない!。」

いつまでたっても、この乙女チックな反応。

純粋なんかアホなんか。

シロは今回の災害の件で龍神の神と仲良くなったみたいで、

しょっちゅうあの世に遊びに行ってる。

服を着替えて車の中。

「シロ・・・惚れたんやろか。」

「誰に?!。」

「え、いや・・・龍神の主に会いに行っとるんやろ?。」

「・・・まさかぁ~。」

大樹はなんでか否定気味。

今まで自分にベッタリやった弟が、

自分から離れたら寂しいんかな。

「蛇と龍の子どもって、あんま見た目かわらんのちゃう。」

窓の流れる景色を見ながらポツポツと話しをする。

「カン、元気ないね。」

いつもと違う自分には気付いとる。

職場では、いつもと変わらん自分を醸し出すけど、

大樹にはそんな気もつかわん。

つかったほうが、おかしいやろ。

「一人で抱え込まないでよ。
俺、頼りないし何も出来ないけど・・・。」

片手をハンドルから離して俺の手を握った。

俺は大樹の肩に頭を預けて凭れ、

目を閉じる。

大樹は黄泉の国の神。

甘甘な黄泉の国で育った神で、

シビアな世界の天界の考えを受け入れられるわけもない。

しかも?

母親はあの超優しい大神や。

宇宙の神々の考えの一部でも理解しろ言うても、

無理に等しいかもしれん。



優しすぎて、路頭に迷う。

「なかなか思う通りに事は運ばんなぁと・・・。」

「カンはやる事やってるって。
ただの高校生だったのに、今じゃ芸能人で、
それも、世の中に伝える為に。
自分の好きな事もしないで。」

大樹の握る手に力が入った。

「そうやろか。
俺の理想の為にやってる事でしかないんちゃうかなぁ。
結局、自分のためやと思う。」

「それでも、その行いは自分以外の人を幸せにしてるじゃないか。」

優しい笑み。

大樹の横顔をジッと見つめると、

大樹の頬が赤く染まる。

純粋過ぎるやろ・・・お前。

「ぷっ。」

「えぇ!なに?!なんで笑うんだよ!。」

吹き出した俺にますます真っ赤にさせて焦り出す、

俺の恋人。

「なー大樹、俺らが死んだらな?。」

「う、うん。」

「結婚しようや?。」

「?!。」

急ブレーキに俺は前のめりになって、

「ちょ!あっぶないなぁ!。」

「カン!今なんて言った?!。」

「はぁ?。」

後ろの車がクラクションを鳴らしてる。

「何しとんねん。後ろ怒って、。」

「そんなのどうだっていいよ!。」

「た・・・いじゅ?。」

後ろの車はクラクションを何度鳴らしても動かない、

俺らにしびれを切らして追い越して行く。

「カン、結婚?。」

「え?・・・あぁ、うん。
ここでは男やし、出来ても同棲やん?。
いつか死ぬんやし、あの世での俺らがホンマの姿やし・・・。
俺、女やし?。」

改めて聞き返されたら恥ずかしい。

大樹に強く抱きしめられ、

「カンさ!カンさぁ!。」

「な、なんやねん!。」

「俺から言わせてよ!。」

「はいぃ?。」

「あの世でもこの世でも、カンは男らしくて、
プロポーズじゃないか!今の!。」

「あー・・・そうなるわなぁ。」

「女のカンに俺がプロポーズされ・・・っ。」

「大樹?。」

「本当に結婚してくれる?。」

「嫌なんか?。」

「ううん。夢みたいだよ。」

「・・・。」

なんとも言えない甘い空気になってる間も、

追い越す後ろの車はクラクションを盛大に鳴らして、

通り過ぎて行く。

「大樹さん?。」

「はい・・・。」

「とりあえず、車走らせましょうか・・・。」

「そうですね・・・。」






こんな甘い時間は一時の時間。

先に神に会いに行こうか、

サタンに会いに行こうか・・・。













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