vol 178:主からの贈り物






案内されるままに、建物に入る。

「あれ?こんなとこあったっけ?。」

俺の言葉を弥勒がチーに通訳する。

『ううん、新しいシスターテレサが来てから、
オレ達みんなで造ったんだ。』

建物の丁度裏にあたる一角に小さな丸っぽい建物。

木のドアを開けると、

床には布が敷いてあって、

正面には小さな古い木で造られた十字架が飾ってある。

『チーとジャンヌ。』

『テレサ~。』

俺と同じくらいの年か?。

頭には布を三角巾のように巻いて穏やかな笑みを見せる女性。

『テレサ!カンとミロクだよ!。』

「カン・・・彼女・・・。」

テレサは俺らに近付くと床に膝まづいて、

頭を下げた。

「天の子、黄泉の国の神。お会いできて光栄です。」

「日本語・・・。」

「カン、テレサは神使いだ。」

テレサは、マザーテレサの生まれ変わり。

「えええええええええ!
なんで、ここに!。」

テレサはゆっくり立ち上がり、俺と弥勒に説明を始めた。

「私は主に言われてここに導かれました。」

「主に?。」

「はい。天の子、私の妹が一番心配し、
そして、本人たちも前を向き夢を持って頑張っている、
この子たちを導けと仰せられました。
わたしも、もう一度この世で、
こんな子ども達に夢を与えたいと思っていたので、
再び、この地に降りたのです。」

俺は涙が溢れ出た。

ポロポロと。

(カン・・・。)

俺の側に来て頬に指を触れさせるジャンヌ。

そう、彼女もまた、主に使わされた一人なんや。

「俺、嬉しいんよ・・・。
神々の判決はこの地球を守る為に、
人間を除外する事を決断した。
でも、俺は人間っちゅー生き物を守りたくて、
でも、現実、人間は何も危機感もない。
地球の為に何かしようじゃなくて、
自分たちの快適な暮らししか頭にない。
地球がこんなにも弱ってるのに。」

俺はしゃがみ込んで地面に触れた。

「それでもな?
こうやって天界から、人間を見捨てずに、
生前、辛い思いをしたにも関わらず、
降りて来て、共に闘ってくれるテレサやジャンヌ、
そんで・・・弥勒。」

弥勒に視線を向けると、
目を真っ赤にさせて潤ませ、
今にも涙がこぼれそうな程だった。

弥勒と俺と大樹、シロは、
苦楽を共にしてきて、
お互いを唯一知りつくす仲間やから。

チーが俺の所にくると、

『カン、ラドゥンに会ってやってよ!。』

ラドゥンの単語だけは聞きとれた。

立ち上がって、チーが引っ張るままに、
建物から出ると、その隣に、石が3つ程積んである。

『ラドゥンのお墓。』

チーはニッコリ笑んだ。

「ラドゥンの墓だそうだ。」

弥勒の通訳に、チーの優しさがただ石が積まれただけの、
墓から伝わってくる。

「ラドゥン・・・。」

ラドゥンの魂の気配はない。

きっと天国で両親と会って幸せにやっとなったんやろ。

俺は両手をパンっと叩いて、

「おし!決めた!
一番でっかい苗木、ここに埋めるで!。」

テレサがチーに説明すると、

チーは満面の笑みを見せて俺に抱きつき、

『わぁ~!ラドゥンの木だね!。』

何を言われてるのかわからんけど、

嬉しさは伝わってきた。

チーを抱きしめ返し、

「そうや!ここに花も木もいっぱい植えよう!。」

シスターもジャンヌも弥勒も、

微笑みを俺とチーに向けた。















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