vol 44:友達




「おっ!あれ柑じゃね?。」

「あ、本当だ。」

「おーい!カン~!。」


結構離れた橋の上で手を振る奴2名。
中学の頃の友達だった奴。
お互い、今は高校生や。





「おっはよー。」

「はよー。」

俺が中学の頃、1年2年3年間、友達は変われど、
小学校からつるんでいた友人が1人いた。
俺的には、そいつを親友やと思った事はない。
中3の頃、そいつに、

「柑、お前は俺の親友だぜ。」

とか言われてた。

小学校の頃から同じクラスにはなったことないけど、
家が近所やったから、登下校は一緒。
俺の友達が変わっても、そいつは交ってきた。
俺にベタベタくっついてくる。
俺かて、いろんな機嫌の日があるもんで、
中3になった頃、あんまりベタベタするもんやから、

「ちょー・・・離れろや。」

素で言ったこともあった。
本人は全く察知しない。

中3の頃、あいつは全然不良でもなくビビリの性格のくせに、
不良が溜まるところによく出入りしてたんや。
校内では同じく不良気どりの奴とそいつは群れてて、
俺とは廊下であった時に笑う程度。
せやのに、登下校は俺を待ってる。

中1の頃は、今、弥勒がやっていることを知った歳で、
人間より妖怪や霊に興味があった。
勿論、友人とも毎日遊んでた。
部活は1年の時バレーボール部に近所の先輩に勧誘されたから入部。
その時、親友と言ってた奴もバレー部に入部。
俺は近所の先輩の知り合いやからって、当時の3年からは、
かなり可愛がられた。キャプテンには特に。
3年が引退したら、2年が俺を待ってましたとばかりに、
イジメにあう。イジメっちゅーても気の弱いイジメ方。
2年で部活を何もしなくていい美術部に変更。

3年になって、テストの日々になる。
テストテストテスト。
俺は高校には行きたくなかったから、好きな音楽以外は勉強なんかせん。
クラスの前の席の女が、

「カンちゃん、答え見せてあげる。」

そう言ってきた。
別にどーでもいい事やったけど、それ聞いてた奴が、

「マジ!俺も俺も。」

俺の後の奴が妙に乗り気や。
結局、俺も参加せざるおえない状況に。
俺がカンニングせな、俺の回答を後ろの奴がカンニングするから。

模擬が始まって、俺がボーっとしてたら後から背中をつつかれる。
見せろの合図や。
俺は咄嗟に前の女の背中をシャーペンでつつく。
女は少し体をずらして答案用紙を見せた。

書く。俺も体を横にずらす。

お陰様で、校内順位60番。
先生からも、この点数やったらって中間の高校を進められた。

「先生、俺、高校行く気ないねん。専門学校に・・・。」

「は?戌尾、お前何言ってんだ。
俺のクラスは全員高校に行かせる。わかったな。」

自分の面子の為に自分のクラスの生徒は高校に進学させるという、
理不尽な教師が担任。

宿題は提出しない。
ノートは書いたり書かなかったり。
夏休み、冬休みの宿題もやってない。

教師も気付きだす。

親友だと言っている奴が言ってきた。

「柑、俺さ、塾行くんだ。高校行きたいし。模擬どうだった?。」

「別に。」

「なぁ~、見せてよ。」

「それよか、今日遊ばへん?。」

俺の問いかけも無視で模擬結果の紙を勝手に取り出す。

「60番!お前スゲーじゃん。」

俺にはその数字がすごいのか解らんかった。
3年1クラス30人超で7クラス。
210名中60番ということらしい。
カンニングだとも言う必要もないし、簡単に言えることでもない。

カンニングを持ちかけた女は女子バレー部。
ある日、親友と言う奴が俺のテストの話をみんなのいる前で話題に出した。
そこで、女はカンニングさせていることを話す。

「柑、俺聞いたぜ?。お前、カンニングしてんだってな。」

「おぉ。」

「駄目だぜ?。そんなこと。」

「別に。俺興味ないし。」

そこでカンニングをしていた俺の後ろの奴の話は出ない。
俺だけがカンニングをしていて、
女も俺に頼まれたって言うてたらしい。
せやけど、訂正すんのも面倒臭い。

当時、俺には昔から仲の良い先輩がおった。
同じ中学卒業で、中学時代はかなりの不良だったらしい。
5つも年上やから俺を弟みたいに可愛がってくれてた。
中1になった頃、その影響で全く知らない先輩たちに、手を振られたり。
仲の良い先輩の時代の不良はマジで悪いことをしてたらしいけど、
俺の頃になったら、不良言うても怖い先生にはペコペコで、
弱い奴にしか強がらん奴が不良。
そんな自称不良共が俺のバックにはあの人がついてる。
せやから仲良くしてたらってのがあるらしい。

アホや。

俺は中学生になっても、その不良のニイチャンんちに遊びに行ってた。
一緒に銭湯に行ったり、飯作ってくれたり、髪の毛で遊んだり。
俺はニイチャンが大好きや。

親友と言う奴はニイチャンの存在を勿論知ってる。

「なぁ、柑。俺にも紹介してくれよ。」

「あ?。なんで?。」

「だってさ、あの人と友達ってスゲーじゃん!。」

スゲーの意味が解らん。
10回程、毎日頼まれて、仕方無しに一緒に連れて遊びに行った。
ニイチャンは普通に部屋に上げてくれたけど、
特に繋がりもない奴と仲良く話すわけもない。
それでも、そいつにとっては仲良くなれたと認識したらしく、
不良仲間に仲良いねんと自慢していたらしい。

ある日、そいつにまたニイチャンとこに連れて行け言われた。
そいつの企みが解ったから俺は断った。

したらな?、あんだけ引っついてたのに俺を無視しだしてん。
そいつとつるんでる奴は俺と同じクラスの奴で、
そこそこ仲良かったせいもあって俺に言いに来た。

「柑、あのさ・・・。」

「なん?。」

「あいつな、お前の事無視してんだろ?。」

「あぁ。あれなんでなん?。」

「・・・理由はテストの点数が俺の方が上だから柑が僻んでて、
自分を無視するんだって言ってたぜ?。」

「ハァ~?。なんそれ。俺そんなん眼中にないで。」

呆れて言う俺に、そいつも顔を顰めて、

「いや、俺もアイツが馬鹿だと思う。」

そう言って、結構キツイ奴だなアイツ言うて立ち去った。
それ以降、毎日登下校してた友達たちにも、
そいつは俺の事を言って避けるよう持ちかけた。

結局、父親に高校に行けと頼まれて高校進学路線に。
中学の登下校は3年半ばから一人。
休み時間も一人で机に寝てるか、保健室に行って、
体温計に細工して帰る日々。

友達や親友なんぞ面倒臭い。
一人で寂しいと感じる時もあったけど、
特別友達欲しいやら、考えたこともなかった。
いい奴がおったら、自然と友達になれるんやろうし。
友達にヘコヘコして気ぃ使っても、その程度の友達なんか、
裏切るのがオチ。
それで呆れる友達なんぞいらんやろ。

高校に入ってからは、俺から話しかけんでも、
周りから寄ってくる。
マツキチと話すんも楽しかったし、したら、自然にクラスの奴らにも、
よう笑えるようになった。

相変わらず休み時間は昼休み以外は教室で机に突っ伏して寝て過ごす。
たまに、女子が飴くれたり、男子がエロ本の話題持ってきたり。
そん時は俺も合わせて話題に参加。
自分からは話しかけにはいかへん。
けど、話してておもろいって感じたら、みんな寄ってくるねん。





友達。

それは、2種類存在する。

親友・連れ。

連れ・・・漢字通り、ただつるんでる奴のこと。

親友・・・何でも話せて一緒におって楽しいし、どんな事でも話せる関係。

俺の連れ。

学校の奴ら。

俺の親友。

弥勒、マツキチ、ニコニコさん、阿弥陀如来、釈迦如来、
阿修羅、薫ちゃん、大樹?、その他。

気張って付き合うのって、可笑しくないか?。
ある程度以上、相手に合すのって可笑しくないか?。

そんな友達は俺はいらん。

自分が必要以上しんどくなる必要はない。

俺がしんどなっても、こいつの為やったらって、

そう思えた時、連れから親友になるんやと俺は思う。





「カ~ン!。」

大きく手を振る奴と隣で笑んでいる奴。

俺は気張りもせず、そのまま立ち去った。

親友と言ってた奴がやたら大きく手を振って名前を呼ぶ。

どれだけ月日が経っても、俺の中ではアイツは連れにも値しない。

今になって、アイツがどう変わったのかも知らん。

でも、アイツに振り回される事もないし、

俺は俺。

阿弥陀は言う。

相手にも相手の理由がある。

この意味を理解できるのは、もう少しかかりそうや。

阿弥陀はそんな俺の気持ちも理解してるから、ニッコリ笑う。

無理せずに大きくなればいい。

今は子供らしく我儘であればいい。












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