vol 155:悪夢






ドドドドドドド

ヒューーーン

ドカーーーン

ババババババ



「大丈夫か?。」

俺の目の前で人が次々倒れていく。

悲鳴をあげて、泣き叫び、

人が人を殺していく。

爆弾の音が鳴り響き、

ビルは崩れ落ち、

眩しい光が放たれる。




ドォオオオオオオン!

俺は眩しさに体が飲まれていく。

気がつくと、

辺りの建物は全て無い。

地面には真黒に焦げた人間が散らばっている。

「なにが・・・起こった?。」

何も無くなった瓦礫だらけの場所に浮かんでくるのは、

命が絶えた人間の魂。

辺りを見渡せば、魂で埋め尽くされている。

俺自身は?。

自分の体を見ると、

あの世の姿になっている。

「お、俺も・・・死んだのか?。」

魂となった人間達が俺の光に吸い寄せられるかのように、

集まってくる。

(うぅぅ・・・・。)

(ヴヴヴヴ・・・。)

(おぎゃー!おぎゃー!。)

(おかーーーさーん!。)

(痛い・・・。)

(暑い・・・。)

(水・・・。)

うめき声をあげながら、
ゆらゆらと近づいてくる。

霊体なのに、皮膚はただれ・・・、
骨は見え、内臓を引きずりながら。

俺は目を見開き、
体が震えた。

この光景・・・信じがたい地獄絵図。

いいや。

地獄のがまだマシだ。

「弥勒・・・。」

この声。

「カン!。」

後ろから名を呼ばれ安堵する声に振り向いた。

額から血を流し、足を引きづって、

ボロボロになったカンが立っている。

「お・・・まえ。
大樹は!シロは!。」

カンは眉尻下げて顔を左右に振った。

「な!。」

俺は言葉が出ない。

人間の霊は俺を取り囲む。

苦しいと言いながら取り囲み、

俺はカンに手をめいっぱい伸ばした。

「カーーン!。」

カンは悲しく笑みを浮かべて俺を見つめている。

カンの後ろに兵隊が銃を構えた。

「ハッ!カン!カン!。」

(苦しい・・・。)

(おかーーーさーーん!。)

(おぎゃーおぎゃー。)

(ヴヴヴヴヴ・・・。)

うめく人間を掻きわける俺は必死で・・・。

「み・・ろ、く。」





ズキューーーン!





銃声と共に地面に倒れるカン。

い・・や、だ・・・うわぁあああああああああああ!!!!。







「うわぁあ!!!!。」

ガバっと勢い良く起きあがる。

寝汗でグッショリになったシャツ。

「ハァ・・・ハァ・・・。」

夢。

「ハッ!。」

俺は飛び起きて、窓のカーテンを開いた。

(フフ・・・おはよう。
いい夢見れたかい?弥勒菩薩よ。)

「サタン・・・お前。」

俺は窓の外のサタンに目を見開き、
窓を開けてサタンの胸ぐらを掴む。

「サタン・・・こんなことしてみろ。
お前を塵にもさせない。
神使いなどと名乗らせない、永久に死を繰り返す人間にしてやる。
痛み苦しみ絶望を永久に味あわせてやる。」

(あはは。おやおや。
弥勒菩薩も人間染みたもんだねぇ。)

サタンは俺に顔を近づけ、

(お前の役目を忘れたか弥勒菩薩よ。
情に流され、何も出来ない菩薩よ。
カンは死ぬよ?。
あの子はその為にこの世に生まれた。
兄と同じように死に、
兄よりも自分の無力さの中で、。)

「黙れ・・・黙れ!。」

(フフフ・・・あはははは!。)




「弥勒ー。俺ら仕事行くけど・・・、
何してるん?。」

カン・・・。












                155       次のページ








154話に戻る
戻る

花手毬