子供の友だちが三人遊びにきた。あいにく子供はいなかったが、みんなして遊んでゆくというので、子供部屋にあげた。おやつの時間になったので、卵や牛乳でホットケーキを作り、ジャムをはさんで、キャラメルといっしょにもっていってやった。間もなく私は外出し、しばらくして帰ってくると、向うから三人が並んで歩いてくる。「もう帰るの。さよならね」というのに、「うん」と、中の一人がうなずいたきり。そのまま一軒のだ菓子屋へはいって、めいめいがキャンデーのようなものを買っている。
家に帰ると、子供部屋の窓の外に、ジャムだけなめたケーキが三つ、四つ、捨ててある。あたりにはアメの包み紙がいっぱい。片づけながら、子供ってこんなものかしらん、と思った。たぶん、こんなおばさんの作った不恰好なまずいお菓子なんておかしくって。僕ら、こづかいはたくさんあるんだから。というようなことだったのであろう。
まだ学校にも上がらない、このかわいい盛りの子供たち。この子たちはお金の味は知っていても、お母さんの作るお菓子の味は知らないのだ。それは大人の責任かもしれないが、大人の中にも、そんなさびしい心の人がどんなにいることか。
私は何だかつらい気持で、小さな三人の後ろ姿を思った。
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