vol 257:電波に乗って






相変わらず、ひーじいさんはボロボロになった日本軍の、

軍服のまま。

じーさんは去年よりかは少し明るい表情にも見えた。

(帰る場所があって、待っていてくれる者がいることは、
ほんに、嬉しいものだ。)

去年の出来事から、

父さんと母さんは、仏壇に良く話しかけていたみたいで。

いつでも帰って来て欲しいと。

その言葉や気持ちが、じーさんに伝わってた。

(あの子はいないのか?。)

「え?あぁ、カン?。
カンは実家に帰ってるよ。」

(そうか・・・。)

「はは。会いたいなら行ってくれば?
カンの事を心で想えば、
すぐにカンのところに行けるんだから。」

じーさんは自信なさげな顔をする。

「そうだ。待ってて。」

俺は携帯を取り出した。

「もしもし、カン?
今、ひーじいさんが帰って来てて、
カンに会いたそうなんだ。
そっちに行ってもらっていいかな?。」

俺は、じーさんに携帯を指差し、

「じーさん、この電波を感じて?
電波に集中するんだ。」

そう言うと、じーさんは目を閉じて、

暫くしたら姿を消した。

「カン、行った?。」










大樹の言葉に俺は、大樹のひーじーさんが来るのを待つ。

暫くして、じーさんが現れた。

「お、来た来た。
夜にでもそっち行くわ。そんじゃーな。」

(カン。)

「いらっさい。」

不思議そうにするじーさんに俺は笑んで説明する。

「霊もある意味、エネルギーの塊やから、
電波は同じエネルギーの仲間で、
まぁ、それに乗って来ると、来やすいって事やな。」

(エネルギー?。)

昔の状況の人なだけに、理解するのも難しいみたいや。

「お客さんか?。」

「あぁ、そうや。
じーさん、これ俺のオカン。
大樹のひいじーさんや。」

オカンはじーさんに笑みを向けて頭を下げた。

(・・・わしが見えるのか?。)

「あー、オカンは見えるよりかは声が聞こえるタイプ。」

俺は去年の話をオカンにした。

「そんなことあったんかいな。
ホンマに戦争は傷しか残さへん。」

「せやな。いまだに、じーさん達は、
当時のままの身を潜めて、
お偉いさん方の下で当時のまま暮らしてる。
なぁ、オカン。
これ、どうにもならんねやろか?。」

もう、戦争は終ってるのに、

死んでまで戦時中なんかおかしすぎる。

俺は、なんとかしたい、

してやりたくてしょうがなかった。









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