vol 254:役目の時期





地球、各国全土が異常気象で、

竜巻、嵐、噴火、地震で何億人もの人々が死に、

土地が汚染されいる。

天使と悪魔が人の狭間で戦っている中、

災害で亡くなった人々の救済もしなくてはならない。

俺はカンたちと、いろいろな場所に行って闇の者を、

闇の世界に還していた。

二人に別れて行動し、

終わると4人同じ場所に集まって寝る。

「はぁー、疲れたぁ。」

「カン、仕事長期休暇大丈夫?。」

「んー?あー、えぇんちゃう?
そんなん言うてられんし。」

カンと大樹の会話を聞きながら、

俺はホテルの窓から外を眺めていた。

亡くなった霊が、行き場所も解らず、

彷徨っている。

あの世から迎えが来ないから。

阿弥陀如来ひとりで霊の救済にあたっていると聞いたが、

数が一人でこなせる数じゃない。

「弥勒ー。飯飯!。」

「あぁ。」

俺の役目は霊の救済。

だが、その時期が解らない。

「なぁ・・・、町中に霊が彷徨ってる。」

「そうやな。俺らも、合間に声かけて、
あの世に行くように言うてるんやけど、
連れて行くまでは出来んくてなぁ。」

「・・・。」

シロは黙って飯を食う。

「そうだね。呼んでも、黄泉の国の者も、
みんな闇との戦に徹してるから・・・。」

「俺の役目をする時は、指示があるんだろうか。」

何も教わってない。

だから、不安だらけで、霊を見ると胸が苦しくなる。

俺を待ってるんじゃないかと。

カンが食べ終わると、煙草に火をつけて立ち上がり、

窓に近づいた。

「お前はどうやねん?。」

「え?。」

「お前の気持ちや。」

シロも箸を置き、

「そうだ。弥勒よ、お前の気持ちはどうなのだ。」

俺の顔を見た。

「俺は・・・皆が俺を待っているんじゃないかって。
見てるのが辛くなる。」

「ほんなら、今既にその時期なんちゃうの?。」

「え?。」

「弥勒は救済の為に生まれて来た。
ある意味、救済の神やんか。
誰の指示を待つんやのーて、
お前が指示する立場ちゃうんか?。」

「うむ。我もそう思う。
そなたが、今自分が必要だと感じれば、
やるべき事をやる時ではないのか?。」

俺が指示?。

「俺が、俺が誰に指示するって言うんだよ!
みんな出はからって、。」

カンが顔を歪めて俺の元に近づくと、

俺の頭を叩き、

「アホ。霊に決まっとるやんけ。」

「霊・・・。」

「はは、弥勒、難しく考えすぎなんじゃない?
君は弥勒菩薩だよ?
空で大きな光を見せれば、
霊たちは耳を傾ける。
君が先導しなくても、
黄泉の国への光の道を作って示してあげれば、
みんな安心して自分たちで光を歩くよ。」

「あ、そうや!信仰によって国が違うから、
その道の案内人として、いい奴らがおる!。」

俺は良く思う。

カン、大樹、シロ。

この3人は本当に俺が心から迷った時に、

答えを導き出してくれると。

「待って。」

カンは煙草を消して目を閉じ集中した。

(カン!。)

(カンどうした!。)

(カンだ!。)

(カン!。)

次々に姿を現す子狐たち。

「おー!みんな来た来た。」

カンの足に纏わりつき、

カンもしゃがんで子狐たちと視線を合わす。

「なぁ、みんな。
俺の頼み聞いてくれへんか?。」

(カンのたのみ?。)

(きく!。)

(きくきく!。)

(カンだいすき!。)

「あはは、カン、考えたね。」

大樹はもう悟ったようだ。

「まさか、この子たちに案内をか?。」

「そうや。
天界の子供は、悪魔の知識も豊富やから、
子供やいうても参戦しとる。
でも、黄泉の国は霊の国。
悪魔への知識や、子供たちなんかとくにや。
なぁ、みんな。
弥勒は知ってるよな?。」

子狐は俺を見る。

(しってる!。)

(しってる!。)

(弥勒菩薩!。)

(しってる!。)

「そーそー。
ちょっと、こいつの仕事手伝ってもらいたいんや。」

(いーよ?。)

(カンのともだち!。)

(いーよ?。)

(なにする?。)

「詳細は弥勒に聞いてくれ。」

(弥勒!。)

(弥勒!。)

(おてつだい!。)

(なにする?。)

カンから俺の膝の上に座りに来たり、

腕にひっついたり。

「あ、あぁ。みんな手伝ってくれるのか。
ありがとう。」

俺は狐たちの頭を撫でた。

みんなに説明すると、直ぐに理解をしてくれて、

話が終わると、大樹やシロにも甘えて、

一気に賑やかに、

また、不安や疲労を忘れる空間になった。

俺が居ない間、

カンたちは3人で行動してくれるらしい。

ここは甘えて俺は俺のやるべき事をしようと思う。

皆の力を借りて。


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