vol 251:贈り物





天界に向かうとすぐに群衆の声が聞こえる。

広大な場所に天使や天界の住民が集まり、

天界の神の話を聞いてる。

群衆の一番後ろに立ってた俺に、

神の隣に居た主が気付いた。

俺に手招きをするから、

俺は主の元へ。

(良いか、我が子ども達よ!
我々の愛する地球を守らねばならぬ。
そなたらのまだ知らない事の多い中ではあるが、
私を信じ、共に戦ってもらいたい!
闇の者を黄泉の国の者達と共に、
闇の世界へと還すのだ!。)

天使達は動揺もなく、

神の声に賛成の意を表すように叫んだ。

(おぉ、天の子よ。
皆、力になると申してくれている。)

「うん。」

(お前からも何か言うてくれぬか。)

俺は皆の前に立つ。

「あの・・・えっと・・・、。」

何か言え言うても・・・何を、。

主が俺の肩に触れ、

(お前の気持ちを伝えなさい。)

俺は小さく頷いた。

「みんな!聞いて欲しい。
人間は愚かで、どうしようもない生き物や。
この世界で生まれた天使達は、
救う価値にも悩まされるやろう。
でも、生前人間やった者は、
自分の身内が心配で堪らんと思う。
今、人間界にいる闇の者を動かす者は、
迷いがあると確実に負けてしまうやろう。
この戦いは決して、今までの悪魔との戦いと違う。
せやから・・・、。」

群衆は俺の言葉に静かに、また、

戸惑いも見せて聞いてる。

「せやから!
神の言葉じゃなく、
今まで教わって来た自分を信じ!
自分の想いで戦って欲しい!
迷いの渦に巻き込まれたら、
直ぐに天界に帰って来て欲しい!
負ける前に、この場所へ。」

そうやなかったら、

天使達も皆、負けた者は闇に引きづり降ろされてしまう。

俺はペコリと頭を下げた。

パパは俺を抱きしめる。

主は前に立ち、

(今の天の子の言葉を皆胸に刻むが良い!
少しでも心が揺らいだら直ぐに、戻るのだ!
黄泉の国の神が我らの為にも、
闇の気から霊気を救う薬の水を作ってくれている。
後の事は案ずるが良い。
さぁ!皆行ってください!
今まで学んだ全てを出し切るのです!。)

群衆はポツポツ姿を消して地上へと向かう。

先に消えたのは神使いたち。

彼等は戦闘のプロや。

まだ、残っている者は不安を抱えた者。

主は、皆のもとに降りて話しを聞く。

皆の質問は、どうやって戦えばいいのか。

(闇に効くのは愛情と強き心。
闇を還す方法は、闇の者をこの世界に連れて来ると言うのです。
闇の者は天界に行くのを嫌う者。
それに脅えて自ら闇に還るでしょう。
心を強く持ちなさい。
貴方方には、十分闇の者を天界に連れて行く力はあります。
それを信じ込ませるのです。
天界への道の光を見せるのです。)

主の言葉を聞いて、また一人、また一人と消える。

(天の子よ。)

「ん?。」

俺に一人の男が声をかけて来た。

(私が解るか?。)

「・・・ミカエル?。
ミカエル!。」

大天使ミカエルや。

ミカエルは俺に笑んで頭を下げた。

俺の良き子守りで、

俺にいろいろな事を教えてくれた神使い。

「うわ~!ミカエル!。」

俺はミカエルに抱きついた。

(ハハハ!変わらぬな。
お前はいつまでたっても子どもの様。)

「大人やし!。」

とても、懐かしい気分になる。

天界に居た頃、

まだ、幼かった俺はみんなに隠れて黄泉の国に出かけてた。

一度、人間界に行こうとして、

それを見付けたのがミカエルで。

そん時、めちゃめちゃ怒られたんや。

(天の子よ!解っているのか!
どれ程、自分が危ない事をしているのか!。)

子どもながらも俺には理解できず、

(はぁ?!そんなもん危ないかどうかなんか、
行ってみな解らんやんか!。)

そう食ってかかった俺の手を掴んで、

ミカエルは俺を人間界の森に連れて行った。

そこでは、人間が鹿や動物を銃で殺し、

それを名誉だと競い合ってた。

(ふぇ・・・うぇ・・・。)

それを見た俺は衝撃的で、

ミカエルに抱きしめられ泣いた。

(純粋なそなたは、まだこの光景に心がついていけぬであろう?
黄泉の国や天界や霊の世界とは、
全く違うのだ。)

(なんで?なんであんなことするん?
人間はわるい生き物なん?。)

(人間は知恵をコントロール出来ない生き物。
お前にも、解る日が来る。)

この事があってから、

俺はミカエルに良くひっつくようになった。

仕事で忙しいミカエルを追っかけては、

追い払われて。

(またか!ここには来るなと言ったではないか!。)

(へへへ。ミーカエル。)

追い払われても、追い払われても、

俺は金魚のフンのようについて行く。

(なぁ、ミカエル。
これってなに?。)

(これは、弓という物だ。
馬の神のたて髪をもらって作ってある。)

俺は弓を持って糸の部分を弾くと、

ビン!っと音がした事に感動して、

(うわぁ~!音が鳴った!
ミカエル、音が鳴った!。)

ビンビン音を鳴らしては感動し、

それに吹き出したミカエルは、

(これは矢だ。
我々の息吹で作られた。
おいで。)

ミカエルは俺を呼び後ろに立って、

弓矢の使い方を教えてくれた。

弓を打つと木に刺さり、

(いやや!こんなんいやや!
木がかわいそうや・・・。)

(あの頃のお前は命を心から愛していた。
そして、今も何ひとつかわらん。)

「はは。ただのガキやん。」

照れくさい。

(いろいろ苦労しただろう。
お前は天界でずっと過ごすと思っていた。
一番お前の居づらい世界に行くとは思ってもみなかった。)

ミカエルと話していると、

パパが声をかける。

(ミカエルは一番、そなたが人間になるのを反対しておった。)

(天界の神。)

ミカエルはパパに頭を深く下げる。

(うむ。主も心配しておったが、
最後まで反対し私に抗議していたのはミカエルだ。)

「うっそ!マジで?!。」

ミカエルは顔を真っ赤に染める。

(お前が可愛くて仕方なかったのだ。
なぁ、ミカエルよ。)

(・・・はい。)

(私も出来るなら行かせたくなかった。
だが・・・見ての通り、
自分で決めたら動けずにはおらぬ子だ。)

「なんで会いに来てくれへんかったん?。」

(・・・会いに行けば、
お前を天界に連れ戻したくなるからだ。
どれ程、会いに行こうとしたかわからぬ。
だが、お前の決めた事の意味は深く、
お前だからこそ、その想いになったのだと思ったのだ。
カン・・・これを。)

「え?。」

ミカエルは俺に真っ白な弓矢をくれた。

(弓はお前が可哀想だと言った木から、
是非お前にと一部を貰った木で作った。
その木に私の愛馬、
お前も良く乗ったであろう?。)

「うん。」

(愛馬よりたて髪と尻尾の毛を巻き付けてある。
これも、我が愛馬より、是非お前にとのこと。
毛と木を結ぶこの淡い青の石は、
私の魂で作りだした物。
お前の愛した者たちからの贈り物だ。
もう、弓の使い道も理解出来るであろう?。)

「うん・・・。
矢は?。」

(矢はお前のエネルギーで作るのだ。
お前の心次第で矢の力も変わる。)

「ミカエル・・・。」

俺はミカエルに抱きついた。

(そろそろ私も行くとする。
肉体に戻れば、この弓は、
小さな指輪となってお前の小指に嵌っているだろう。
いいか?矢はエネルギーだ。
使い過ぎると気力がなくなるのを忘れるな。
私はこれでいつもお前と共にいる。)

「はい・・・。」

ミカエルは姿を消した。

(カン?。)

主が隣に立つ。

主は俺の両耳に触れて目を閉じた。

「にいちゃん?。」

(・・・。
これは私から。)

離された両耳に触れると、

そこには輪になったピアスが。

(我が妹よ。
私の光を貴女の耳に授けました。
お前が力を無くした時、
私のこの光のエネルギーが、
お前に力を与えるでしょう。)

「うん・・・。」

主は俺を抱きしめた。

俺も抱きしめ返した。

そして、。

(ならば私も娘に授けよう。)

パパが耳朶に触れる。

そこにも雫型のピアスが。

(これは私の心に繋がっておる。
お前の感じること、見たこと、
全てを私も見よう。)

「パパ・・・。」

みんなからの最高を贈り物。

そこで実感も湧く。

戦いへの行動の幕開けだと。








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