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vol 249:悲しみの中の戦略
大日如来は自分の服の衣を大樹に被せ、
神々の前から姿を消した。
俺は丁度、パパと一緒に阿弥陀の国に居たんや。
パパ、弥勒にシロ、
薬師が阿弥陀に呼ばれて茶を飲みながら、
たわいもない話しをしてた。
俺はその話しに入らず、
ひとり庭で池に咲く桃色の蓮の花を見てた。
何を考えるでもなく。
「大樹?。」
弥勒の言葉に振りかえる。
そこには傷ついたように見える大樹の姿と、
大日如来の姿。
俺は立ち上がった。
(おかえりなさい、二人とも。)
阿弥陀は笑みを浮かべて言うも、
どこか悲しげな表情。
大樹は庭に居る俺に顔を向けて、
顔を歪ませ、ゆっくり俺のもとに来ると、
強く俺を抱きしめた。
「・・・大樹?。」
「・・・。」
俺は目を見開き、大声で大日如来に向かって叫んだ。
「誰やっ!誰がこんな目にあわせたっ!!!!。」
理由も何も聞いてもない。
でも、怒りが溢れた。
俺の怒りの気は阿弥陀の国の空を曇らせ、
ゴゴゴと空で雷の音を響き渡らせる。
優しく咲く蓮の花弁が1枚、1枚と散っていき。
(・・・。)
大日如来は俺たちの元に来ると、
体を大きくして俺達を抱きしめた。
(私が居ながらこの様な事・・・。
我は一体、今まで何をしていたのか・・・。
いっこうに変えられなかった。)
大樹は涙を流す。
「うわぁあああああああ!!!!!!。」
俺は空に向かって大声で叫んだ。
何が神だ!。
神なんか、人間と同じやないか!。
権力を振り回し、
勝れた力を振り回し、
神同士でも理解し合えない。
(大日如来よ。もう、あの方々は諦めましょう。
随分長い間、貴女は頑張って来られた。
我々の心を背負い、さぞかしお辛かったでしょう。
もう、よろしいですね?薬師如来よ。)
薬師はゆっくり頷き、
大日如来の後ろに立つと大日如来の背中に触れる。
(カンよ。気持ちを静めなさい。
怒りは何も生みません。
見なさい、お前が心和んでいた蓮たちを。
お前の怒りが蓮たちを枯らせてしまった。)
俺は池を見た。
空は暗く、水面も鮮やかな空を映しだしていたのに、
淀み、蓮は全て枯れてしまった。
俺が悲しく思った時、
空からは小粒の雨が降る。
(我が子よ。)
パパ・・・。
(皆に見せよう。今起こった事を。
我らの相手で一番厄介な者達を。)
大日如来は床を指差す。
床一面まるで映画のスクリーンに変わった。
そこに映し出された宇宙の神々との会話。
神々を初めて見た弥勒とシロは絶句。
あの、いつも笑みの絶やさない阿弥陀の表情は、
真剣そのもの。
パパは、悲しみと少しの脅えが見える。
薬師は目を閉じて顔を左右にゆっくり振り、
大樹は俺から離れようとせず、
俺の肩に目元を乗せたまま。
俺は・・・。
俺は、。
「闇の奴らなんか、どうにでもなる。
地獄に還して門を閉じればいい。
重要視せなアカンのはコイツらや。」
(良い案があります。)
阿弥陀が言葉を放った。
(神々の計画は闇に滅ぼさせる事。
サタンの感情を上手く使い。
ここまで地球が滅びだしては、
我々が動いている間に、間に合わないでしょう。
神々は自分の手で手出しはしないはず。
まずは、我々で闇の者を減らすのです。
闇に還し、神々の計画を乱す。)
弥勒は言う。
「しかし、闇の者の数は我らだけでは、。」
(そう。カンよ、お前ならどうしますか?。)
阿弥陀が俺に顔を向けた。
俺は目を閉じて少し考えてから、ゆっくり目を開ける。
「闇の者も所詮、霊。
天界の天使、黄泉の国の神々と修業中の霊たち。
人数は十分足りる。」
阿弥陀は笑みを浮かべた。
(もう時間がない。私は主に皆を集め、
動く様、準備をさせよう。)
パパは言う。
(弥勒よ、そなたは黄泉の国全土の神に私の元へ来るように、
伝えてくれませんか?。)
「はい!。」
(シロ、お前は蛇の国、龍神の国に行き、
そこの神をここへ。)
「はい。」
(薬師如来、貴方の国では霊薬を作っていただきたい。)
(わかった。)
(大日如来よ、そなたは他の銀河へ行き、
同じ想いの神々を見付けてください。
必ず、少なくとも、我々と同じ想いの神々がいる。)
(解りました。)
(カン?お前は少し、大樹と居なさい。)
「うん。」
(私は阿弥陀の国の者を集めます!
さぁ、皆、向かいましょう!。)
俺と大樹以外、消えた。
消える間際、
弥勒は大樹の肩を叩き、
シロは俺に頼んだと告げた。
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