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vol 239:訪問者
寺の一件から、俺らの日常はまた普段通りになった。
気持ちは行き場を無くしたまま。
弥勒は、自分が放った法力で、
住職の亡骸が無残になった事を引きづってる。
笑ったり、普通の態度に見えるものの、
一人になると、あぁするしかなかったのか、
怒りや咄嗟の行動で、
それをするべきだったのか。
答えのない事に自問自答し苦しむ。
大樹は、自分が目を離したせいで、
住職が死んだと責任を感じてる。
あの時、自分が住職を守っていたのに。
自分のせいでとばかり責めて。
シロは、大蛇と言う見た目だけで、
自分達の仲間だと判断した気持ちもあり、
サタンだと気付けなかったこと、
簡単に自分の力が通じなかった事、
悔しさで今まで何を学んで来たのかと。
そして、
俺。
サタンは俺に言った。
君の僕への誤解を解きたくてと。
その為だけに、
あの寺の周辺の仏像は荒らされ、
弥勒のお師匠も、俺たちに希望を持った住職も、
死んだ。
サタンの想いは、まるで可愛い純粋な悲しい想い。
神に自分の存在を認めさせたくて、
神に後悔させたくて、
いかに神が愛する人間は脆く愚かで弱いか。
それを知らしめたいだけなんや。
その想いさえ除けば、
アイツも良い奴だって、
俺とも遊べる奴やって思ってた。
でも、知らしめる為にやってきた行動は、
酷過ぎる。
度を超えてる。
今更な話しやのに、
でも、誰もアイツの心を解ってやろうとせんかった。
せやから、
せやから、俺は解ってやろうとしたんや。
俺は・・・。
俺は・・・。
「主よ・・・。」
「はい。天界の神。」
「我が娘は・・・カンは、貫けると思うか?
自分が抱いていたサタンへの愛を。」
父は庭に座り、悲しげに不安に私にお尋ねになった。
私は父の隣に座り、
「ここでまた、あの子の壁が立ちはだかるのです。
弥勒、蛇の子たち、皆。」
「皆の気が乱れ、弱点が増えた。
此処を引きだされるであろう。」
「・・・。しかし、彼等です。
根にはしっかりとした想いも絆もあります。
そして、彼等には大勢の神々や霊がいます。
迷い、蹲った彼等を放っときはしません。
貴方もそうでしょう?。」
私は笑みを父に向けた。
父は眉尻下げて笑み、
「放っておけるものか。
うむ、出かけて来るぞ。」
「はい。いってらっしゃい。」
父は姿を消した。
インターホンが鳴って、大樹がドアを開ける。
「はい・・・。」
そこに立っているのは汚い服に、
長い白い髭のじいさん?オッサン?。
俺とシロはリビングから覗いて、
「なんやあのオッサンなんかジイサンなんかわからん奴。」
「うむ・・・まるでホームレスか。」
弥勒も覗き、
「ホームレスがうちになんの用なんだよ。」
俺ら3人は不思議と物取りでもしに来たかと、
警戒。
そこで大樹の悲鳴に慌てて3人で玄関に向かう。
「大樹!なんや!。」
「物取りか!脅されたか!。」
俺と弥勒は声を上げて、
大樹はオッサンジイサンを指差して、
目を丸くして俺たちに振り向き、
「て、。」
「て?。」
「天界の神・・・様だって。」
「・・・。」
「・・・。」
「娘よ、神の子らよ、私も共に苦しみに来た!。」
「えぇえええええ!!!!!!!。」
驚きしかなく、4人の大声が響き渡る。
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