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vol 237:大蛇の正体
(ギェェエエエエ!!!。)
大きく叫ぶ悲鳴が響き渡る。
カンの光が小さくなるのが目に見えて解り、
カンの表情も辛そうだ。
「カン!。」
俺は住職から目を完全に離していた。
「う、うわぁぁぁぁ!。」
住職の叫び声に目を見開いて視線を向けると、
大蛇にズルズルと腰に巻いた尻尾で引きづられ、
俺は慌てて再び両手から白蛇を放った。
大蛇の周りには黒い煙のような気がたちこめ、
白蛇は苦しそうに地面にのた打ち回る。
「こ、れは・・・。」
「大樹!離れろ!。」
弥勒の声に後ろに下がると、
「破!!!。」
弥勒が法力を大蛇に向かって放つ。
「なんで・・・彼は仲間じゃないの?。」
仲間を奪われたと怒りを露わにしていた大蛇が、
今、住職の体を絞めつけている。
「ぐ、ぁああああ。」
痛々しい悲鳴で俺は唇を噛みしめた。
(おやまぁ。カン、君の力はその程度かい?
これは、予想外だねぇ。)
この声。
カンは光を放つのをやめて、大蛇を睨みつけた。
「サタン・・・。」
(僕のこと、全然見抜けなかった。)
大蛇は姿を変え、サタンは腕で住職の首をしっかり掴んでいる。
「どういう事や・・・。
なんで、お前がここにおるねん。」
(カン、君の僕への誤解を解きたくて。)
サタンは眉尻下げてカンを見つめ、
空いている方の手を住職の首に伸ばし、
親指を立てると、
親指の爪は鋭く伸び、
住職の首を切った。
「っ!。」
俺は衝撃的な映像に俯く。
「こ、んの野郎ー!!!破ぁ~!!!!。」
弥勒はもう一度怒りにまかせて法力を放つ。
サタンは笑みを浮かべ住職を盾にし、
住職の体は弥勒の法力で砕け散る。
(弥勒菩薩ともあろう神が、
人間の亡骸をこんなふうにするなんてねぇ。
それで、人間を救えるのかい?。)
弥勒はサタンの言葉と自分の法力でバラバラになった住職を見て、
放心状態になる。
「なぁ、サタン。よう解った。
そこの悪魔連れて、消えろや。」
カンも俯いたまま、サタンに言う。
腐った皮を着て弱った悪魔は床を這って、
主でもあるサタンに近付くと、
サタンはその悪魔を見下ろして、
片手を翳し、
火を放つ。
(ギャァアアアアア!!!!!)
悪魔はもだえ苦しみ、塵となった。
あの世の塵の意味するのは完全なる死。
(用なし。)
俺は許せなかった。
弥勒もカンもきっと同じ気持ち。
「もうえぇ。はよう消えろ。」
カンから光がたち昇る。
真っ白な光。
それを見たサタンは満面な笑みを浮かべ、
(怒りこそ、力。
憎しみこそ、力は偉大になる。)
そう言ってサタンは姿を消した。
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