vol 236:光の力






暗闇は月明かりのみの光のみ。

沼からゆっくり這いずってくる。

ズルズルと耳障りな音をたてて。

沼から出ると両足を地面につけて立ち上がる。

腐った皮膚の目の無い女。

ボロボロになった元は白であろう半袖ワンピース。

そこから出た腕から手にかけての腐った肌は、

腐った蛇の皮になっている。







わいわい賑やかな食事。

握り飯を両手に掴んで食べるシロ。

それを行儀が悪いと言う大樹。

その二人を見ては微笑ましく笑う弥勒と俺。

「ヒィイイイイイイイ!!!。」

大きな住職の叫び声が鳴り響く。

俺ら4人は目を見開いて部屋から飛び出た。

廊下には尻もちをついて俺らの後ろを見て震える住職。

「後ろか!。」

弥勒が住職の顔からヤツの居場所を察知して叫んだ時、

大きな風圧で全員が飛ばされた。

「うわ!。」

壁や地面、廊下に叩きつけられる。

「痛った~・・・。」

俺は丁度、地面に叩きつけられ、

肘や腰を強打し、ゆっくり体を起こして、

視線を向ける。

ヤツが、脅える住職に顔を傾けながらジリジリ近付くのを見、

弥勒が住職の前に立って印を結び、

「・・・破っ!。」

気を溜めて法力をヤツに向かって放った。

大きな風圧がヤツを襲うも、

ただ、服が破れるだけでヤツになんの影響もない。

「な、効かない。」

ヤツは口を横に引いて笑うと、

片手を弥勒の方に伸ばし手のひらを見せ、

そこからは悪霊と化した無数の蛇が弥勒と住職を襲う。

「ヒィイイイイイ!助けて!助けて!。」

住職はまとわりつく蛇を体全部を使って払うが、

蛇は体全体に絡まりつき住職の体を絞めつけた。

弥勒は蛇の体を掴んでは引き剥がし、

大樹は住職に駆け寄って、

「我に力を・・・この者の邪悪な蛇を食い破れ。」

住職に両手を伸ばし手のひらを見せ、

大樹の手のひらからは無数の白い蛇が住職の蛇に向かって、

飛び付き蛇の体を食い破る。

シロはヤツを睨みつけ、

白蛇の大蛇に姿を変えて、ヤツに大きく口を開け襲いかかった。

ヤツは口を開き、ヤツの口は皮を裂けさせ、

口から狐を出す。

大きな狐はシロに襲いかかり、シロの首に噛み付き、

白は狐の体に自分の体を巻き付け。

「クソ、いろんな奴の魂を操ってやがる!。」

弥勒は印を結んで、神々の力を借りようとした。

神々から力が降りる前にヤツは弥勒に飛びついて、

両手首を掴み床に押し付け、

印を結べなくし、裂けた口を大きく開けて、

そこから毒虫が弥勒にどんどん落ちていく。

それぞれがそれぞれで戦っていて、

俺は立ち上がり、両手を空に向かって伸ばし、

手のひらを上へと向けて聖なる光を放った。

光は寺全体を包むように注がれ、

膜を張るかのように。

(ギェエエエエエエエ!!!!。)

悲鳴と共にヤツは両目を両手で覆い、

弥勒の両手が解放されると、

弥勒は奴の腹を足で思いっきり蹴り、

皮と虫で出来た奴は後ろに倒れ苦しそうにもがく。

狐や蛇にはこの光は効かない。

きっと、弥勒の法力の方が効くんだろう。

「カン!その光をヤツに!。」

弥勒の言葉に両手をヤツの方に下ろし、

ヤツに真っ直ぐ聖なる光を浴びせる。

(ギェエエエエエ!!!!ギェエエエエエ!!!)

ガラスを爪で引っ掻くような声。

弥勒は再び印を結んでシロに巻き付く狐に向けて法力を放ち、

狐は法力によって塵となり、

大樹の白蛇によって解放された住職を、

大樹は支えて立たせた。

ヤツはみるみる皮の中身が光で浄化され、

人の皮が垂れさがる。

でも、俺の気力は光の大きさで消耗も早く、

どんどん光の勢いも小さくなって、

「も・・・ちょ、いっ!。」

必死になって光を放った。














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