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vol 231:話し
「座りなさい。」
本堂の中、住職に声をかけられて4人で仏像の前に座った。
立派な大日如来や。
4人はまず、両手を合わせて大日如来に挨拶した。
「よく、戻ってこられた。弥勒よ。」
「住職様、一体この山で何が起こっているのですか?。」
住職は眉尻下げ、
「鬼や悪霊なら、神通力のない者でも、
この職業をしていたら1度は目にする。
しかし・・・これは・・・。」
住職は言葉に詰まらせた。
脅えと恐怖。
「師匠の事をお聞かせください!。」
「この山にはたくさんの真言宗の寺がある。
どの寺にも退魔の話しなど、
この現代、持ってくる者も殆どいない。
たまに、霊に取り憑かれてるのかもと、
相談があるくらいだ。
ここ、何日か前からだ。
お前の寺にだけ、人が訪れた。
住職も、困っておってなぁ。
弥勒が居る頃は退魔の仕事も引き受けていたが、
居ない今、自分にはそんな法力はない、
断っても、頼って目の前で困った家族の姿を見たら、
断りきれないと。
現場へは、向かわず、
自分の出来る範囲で退魔をやっていたようだ。」
「では、寺で行っていたと言うわけですか?。」
「寺に呼んで、体に経を書き、
護摩焚きを行っていたようだ。」
「それで、解決は出来てたんでしょうか?。」
「住職は言っていた。
経を読みだすと、皆が皆、
クスクス笑うんだそうだ。
ずっと、ずっと。」
俺は弥勒の話しを思い出した。
「弥勒、悪魔の仕業言うてたよな?。」
「あぁ。霊とかの類でもないと。」
「なぁ、坊さん!。」
「ちょ、カン、住職だよ。」
俺の呼び方に大樹が注意をする。
住職は俺を見てキョトンとし、
「なぁ、住職。住職は何を見たん?。」
坊さんは自分の持っている数珠をギュッと強く握った。
「まずは、山の変化。
背筋が凍るような寒気がどこに居てもする。
うちの寺の池の水がみるみるうちに泥沼と化した。
鯉は浮かび上がり・・・しかし乾いた土にはならない。
たまに沼から泡が出るんだ・・・。
まるで・・・何かが息をしているみたいに。
昼夜とわず、ペタペタと歩く音。
廊下や私の寝ている周りに泥の足跡。」
「他のお寺でも同じことが?。」
大樹の質問に、住職は頷き、
「他の寺では・・・仏像の頭を・・・。」
「頭?。」
「仏像の頭だけが無くなっている。」
4人で顔を見合わせた。
シロが呟く。
「この寺の大日如来像はまだ頭がある。」
「そう。だから・・・次はこの寺かと。」
この話しを聞いて、
大樹は案を出した。
「もしも、このお寺が次に狙われてる可能性が高いなら、
今日あたりでも何か起こるんじゃないかな。
池に居るんだとしても、
池に近付くのは危険だし、相手が出るまで待った方が良くない?。」
「せやな。弥勒、どないする?。」
「あぁ。俺は一回寺に戻って見て来る。
住職様、この3人もその道のプロです。
今夜、この寺に泊まらせてはいただけませんか?。」
住職はシロに目がいった。
「そ、それは有難い。
しかし・・・この子どもも?。」
俺と大樹と弥勒は一斉にシロを見た。
「ぷっ!。」
つい、3人で吹き出してしまい、
「うるさい・・・。」
シロは御立腹。
弥勒は寺に向かい、俺達は、
もう少し住職から話しを聞くことにした。
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