|
vol 229:理屈と歯痒さ
日本に今まで無い地震が来て、
大勢の命が奪われ、
日本全国が困惑してた。
俺や大樹たちは、チャリティー活動をしつつ、
日本ばかり意識してた。
「はぁ~、とりあえず一段落やな。」
現地の避難所の体育館で俺らも過ごす。
隅の一角で4人。
現地のゴミとなった瓦礫の掃除や、
炊き出し。
かなり体力も疲労もあって、
寝るのは布団を借りずに毛布のみ。
布団すら足りてないからや。
新たに非難してきた人の為に用意してくれた物も、
極力、自分達は断って使わなかった。
老人が殆どの小さな体育館。
「シロちゃん、これお食べ。」
「小さかねぇ。」
小さな子どもが居ないこの場所で、
シロは人気になって、
戸惑うシロが可笑しかった。
なんやろ。
ふと言葉が出る。
「日本だけとちゃうのになぁ。」
「何?カン。」
大樹がキョトンとして俺の言葉に反応を示した。
「いやさ、日本は今回初めての大災害やん。
ここまで死者も行方不明者や、
災害の被害もなったことないやろ。」
「そうだな。阪神大震災でも、
ここまでじゃなかった。」
弥勒も会話に参加する。
「今回、日本が初めてで、
海外では悲惨な災害は何回もあって。
今、インドの方が津波でやられてるやん。
俺らは日本だけで手いっぱいや。」
「そうだね。うまく言えないけど、
モヤモヤする気持ちは解るよ。」
大樹が眉尻下げて笑んだ。
「あーあ。サタンは世界中で活動しとる。
俺は何やってんねやろ。
こんだけ差を感じたら、自分が情けないわ。」
畳んだ毛布に上半身を乗せて寝転び、
天井を見上げる。
やれる事を今やるしかない。
そういう理屈は解ってる。
解ってる事と、それに対して歯痒いとこと。
「そうだ、カン。
話しておきたい事がある。」
「なんや弥勒、改まって。」
「この間、寺の住職から連絡があって、。」
弥勒から聞いた話しに勢い良く飛び起きた。
「ま、まさか!そんなん、どないすんねん!。」
闇の者がこの世界に肉体として現れて、
人々を襲ってる。
「普賢菩薩に知恵を借りに行ったが、
食い止める方法は神々の意志を変える事しかないらしい。」
大樹が顔をしかめた。
「待ってよ。どういう意味?
それって、神々は承知だって言う事?。」
「なるほどなぁ。
闇の者を結局管理してんのは、サタンでもない。
神や。
地獄からそうやって出られるって事は、
その門が開いたってわけやな。」
「あぁ。霊体としては、
今やこの世にもたくさんの闇の者が現れては、
人に近付いて耳元で悪に導いていた。
でも、今はその手で殺し、
惑わしている。」
「弥勒、師匠は大丈夫なんか?
関わったら、殺されんで。」
「もう一切関わらないようにとは言ってある。
生身の人間で、法力を持ってる者でも、
正直、無理だ。」
一見、神々はなんちゅー酷い!
どこが神や!
何が神や!
って思うかもしれん。
けど、神々もまた一種の種族みたいなもんで、
まぁ・・・人間とペットみたいな?
飼いきれんようになって、
でも、様子も見てきたけども、
狂犬になって、もう最後の教育を始めた。
これで変わってくれたらと思ってたけど、
変わらんから、絶滅させるしかない。
増えていったら、手がつけられんようになる。
一種の例えやけども、
ここまでの審判が下されるまでの経緯もあるわけで。
神々が酷い存在って思うのは大きな間違いでもある。
弥勒の携帯が鳴りだした。
「もしもし?
え?・・・そう・・・です、か。
すぐ行きます。」
弥勒の顔が悲しみに満ちる。
「弥勒・・・どうしたの?。」
「電話、誰や。」
「・・・住職が死んだ。」
229 
|