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vol 225:帰国
今日は弥勒とシロが帰って来る日。
カンは、やっと仕事が始まって出迎えに行けない。
「大樹、ほんなら頼むわ。」
始発の新幹線に乗って東京に行くカンを見送り、
「仕事終わってホテルに着いたら電話して。」
「わかった。」
荷物もあって電車で帰って来るのは辛いだろうと、
空港まで車で迎えに行く。
車内で携帯が鳴り、
「もしもし?あぁ、弥勒?
え、もう?今向かってるところ。
後、30分くらいで着くかな。」
弥勒とシロは到着している。
やっとの思いで空港に辿り着くと、
ロータリーで二人を発見。
車で近くまで行き、二人が車内に乗り込んだ。
「お帰り~。」
すっかり疲れてるのか、
後部座席で終始無言で直ぐに寝てしまうシロ。
助手席の弥勒もだんまり。
「相当疲れてる?。」
「え?あぁ、そうだな。」
素っ気ない返事で、妙に悩んでいる様にも見え、
「何かあったんだろうけど、
余計に悩み増えた?。」
弥勒は窓の流れる景色を見ながら、
俺の言葉に耳を傾ける。
「1回はスッキリしたんだけど・・・。
ハァ・・・。」
「ちょっと、やめてよ。
気になるだろ!。」
溜息の理由を何度か聞いたけど、教えてもらえなかった。
「シロ、このカンの事は大樹には言わないでおこう。」
「うむ。兄様には言えぬな。」
殆ど会話もなく家に着き、
「ほら、二人とも風呂入ってベッドで寝なよ。」
「あぁ。シロ、風呂入るぞ。」
「うむ。」
二人分の着替えを用意して脱衣所に置き、
直ぐ寝るだろうと弥勒とシロの部屋のベッドを整えてやる。
「はぁ~。なんなんだよ、あの二人の空気。
やたら重い。何があったんだよ。」
「きっついなぁ~!!!!。」
「煩いぞ、弥勒。」
シロの髪を洗いながら、大樹に言えない事で、
胸が苦しく叫んでしまい。
「しかもよ?その件は置いといたとしても、
既に始まり、来る時に備えよって・・・。」
「・・・。」
「だぁぁぁあ!もうっ!
悩んでも仕方ねーって解ってんのに。」
「煩い!。」
シロはなんで冷静でいられるんだろうか。
冷静?
んなわけないか。
きっと、コイツはコイツなりに深く考えてんだろう。
「なぁ、カンに聞かれたらなんて答える?。」
「・・・。」
シロの無表情が眉間に皺を寄せた。
「悩むよな・・・。」
「うむ。」
「カン、聞いてよ。
シロも弥勒も何も教えてくれないんだ。」
『マジで?
あ!あれちゃう?俺らも自分達で行って気付かなアカンとか。』
「あー、なるほどね。
弥勒に代わるよ。
はい、弥勒。」
受話器を受け取る。
「もしもし?。」
『おー、弥勒!お疲れさぁん。』
テンションの高いカンに余計胸が詰まる。
「おぅ。」
『なんや元気ないらしいやん。
いろいろ絡まれたりせんかったん?。』
「絡まれたなぁ。
でも、マリアが一緒に居てくれたから、
それからは絡まれることもなかったよ。」
『マリアが?。』
「え?あぁ、うん。」
『そっかぁ。俺も行きたいわ。』
「シロに代わるわ。」
『おぅ。』
シロに受話器を渡す。
なんだかホッとした。
「相変わらず忙しいのか、カン。」
『ホンマ今日から復活やから、どうやろ。
向こうで問題おこさんかったかぁ?。』
「ふ。我を誰だと思っておる。」
『まだまだプライドの高い坊っちゃん蛇。』
「・・・切る。」
『ちょー!!!冗談やって!
まぁ、無事に帰って来てくれて安心したわ。』
「いつ戻るのだ?。」
『それが、明後日お前ら来てほしいねん。
災害の被災地に炊き出しとかしよう思ってるから。』
「そうか。解った。
二人に伝えておく。」
『ん。ほんなら、またメールするって大樹に言うといて。』
「うむ。」
シロが受話器を大樹に渡し、
「あ、カン?
・・・切れてる。
なんで、切って渡すんだよ!
シロの馬鹿!。」
「ば、馬鹿とは何を言う!
兄様も、話しをしたではないか!。」
「そういう問題じゃない!
これから二人で話そうと思ってたのに・・・。」
受話器を持ってしょんぼりする大樹に、
お菓子を食べだすシロ。
いつもの光景に少し、気持ちも和らいだ。
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