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vol 220:命の人形
「今は災害だけど、今後戦争も起こるのかな。」
無残に何も無くなった被災地を見ながら、
大樹が呟いた。
「そっち側は闇の専門やろ。
裕福に平和になっても、人間の欲は尽きる事ない。」
「カン、俺はまだ争いで死ぬより、
自然の力で死ぬ方が良いよ。」
チッチ達の光景が浮かぶ。
「せやけど、
その言葉が理解出来るんは俺らくらいで、
そこらの人に言うたらアカンで?。」
大事な人を失った人にすれば、
災害で死のうが、殺されようが、
関係ない悲しみでいっぱいやから。
黄泉の国より、たくさんの霊が降りて来てる。
亡くなった霊に一人ずつ、
状況を説明し、
納得させて黄泉の国に連れて行く。
俺は心配やった。
その相手は誰でもなく、
天界の神。
「大樹、俺、心配やからパパの様子みてきてええ?。」
「パパ?・・・そうだね、
俺は黄泉の国が忙しいだろうから、
少し出来る事を手伝うよ。」
大樹は笑んで言うと俺に、
子犬を手渡した。
「連れて行ってあげて。」
「ん。」
子犬を受け取って、天界に意識を集中する。
これ程までに誰も居ない天界を見るんは初めてや。
真っ白い建物の国。
天界の神の場所に行っても、
神はおらんかった。
「どこ行ったんや・・・。」
天界の神に対して意識を集中させる。
辿り着いた場所は、
「ここは・・・。」
どこが天井だか見上げても見えない。
円形になっている壁には、
沢山の白い小さな人の形の人形がある。
良く見ると、
人間の形もあれば、
木やいろんな動物の人形も。
その建物のど真ん中に父が居た。
「パパ、ここなんなん?。」
(カン・・・おかえり。)
「うん・・・。」
(ここは、私の愛する命の場所。)
「命の場所?。」
(そうだ。ここにあるのは私の子たち。)
そう、ここにある人形は、
今生きている生き物たち。
「隙間・・・あるな。」
死んだ者は、姿が無くなる。
(見てごらん。)
父が視線を向けた場所には何も無かった。
「?。」
(近付いて目を凝らして見るんだ。)
言われた通りに何もない場所をジッと見つめた。
「あぁ!。」
そこには点がある。
(新しい命が生まれた。)
ここの人形は、現実とリンクされてて、
成長すると人形もその形になる。
(私は、これだけの命の生死を守っている。
だが、見守るだけなのだ。
カン、見なさい。)
父が言った人形を見た。
徐々に跪いていく。
「死ぬん?。」
(いや、この者は色が他より白いであろう?。)
そう言えば、人形によって色が違う。
(どこかの神に見守られている証拠。
黒い者は闇に支配されている者。)
「ほんなら、アタシはどこにおるん?。」
父は眉尻下げて笑み、
俺の人形の場所に連れて行く。
「ちょ!透けてるやん・・・。
死ぬんか?!。」
父は俺の人形を掴み、それを見つめ、
(枠は真っ白で光もある。
中が透けているのは、それだけ純粋な子なのだ。)
「なんや・・・死ぬんやないんか。
あ、大樹とか弥勒やシロは?!。」
自分への見た目はどうでもいい。
ただ、まだ、死ねんと思ってたからの確認。
大樹は、透き通る青。
弥勒は透き通るオレンジ。
シロは、枠は透き通る緑なものの、
中は黄緑と緑が混ざっとる。
(神の子は、たいがいが特徴的な色を持っている。
普通の人間は灰色だ。)
「パパ、なんなんシロの色。
なんで中がこんな濃い色が入り混じってんの?。」
(白蛇神は、まだ己のプライドと闘っておるのだ。)
アイツらしい・・・。
(カンよ。すまぬな。)
「え?。」
(私は、あれから神々への説得を試みたが・・・、。)
「ホンマにすっごいわ!
パパのおかげで、全ての命が奪われることを回避出来た!
さっすがパパや!。」
(何を、それはお前が、。)
俺は父に抱きついた。
「パパは最高の神。
パパに作られ、パパの子でホンマに良かった。
ありがとうな。」
父は大きな体で俺を抱きしめ、
(お前は・・・心優しい子だ。)
その腕の中で目に入っていたのが、
枠は真黒なのに、
中は透き通る人形。
サタン。
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