基礎工事

 浄化槽の性能が十分に発揮できるかどうかは浄化槽の据え付け工事にかかっているといって過言ではない。従って、基礎工事は極めて重要な工事である。

(1) 割栗石地業

 地盤を固める割栗石地業と、その隙間を埋めるために砂利を敷く目潰し砂利地業に分けられる。

左図は絵です。これを図面で描けるようにしておくことが大事

 掘削、床付け終了後、浄化槽や基礎コンクリートの荷重を支える地盤を強固にするため、小塊状の砕石を敷き固める。これを割栗石地業という。石は地盤に差し込みやすいように尖った方を下にし、ランマ等で転圧する。厚みは一般的には100〜150mmであるが、浄化槽の規模で変わる。

 栗石の隙間には切り込み砂利を敷き、ランマで転圧する。

 ランマの転圧作業をみてみる。動画サイトへ

 もし深く掘り過ぎたら後述の捨てコンで調整するので、決して栗石を厚く敷かないこと。

 栗石は縦に並べるのが正しい。動画でみてみる。動画サイトへ

(2) 捨てコンクリート工事

 型枠、槽本体位置、固定金具、浮上防止金具の取付け位置などの墨出しを行うため、捨てコンクリートを50mm程度打設し、木ゴテ等で水平に仕上げる。この捨てコン自体は構造強度的には何の意味も持たない

(3) 墨出し

 捨てコンの上に通り芯、型枠の位置、槽の固定金具、浮上防止金具の位置などの墨出しを行う。不正確な墨出しは、浄化槽の移動、配管の取り壊し、無駄なコンクリートのハツリにつながるので注意する。

(4) 鉄 筋

 鉄筋はJISの丸鋼や異形棒鋼が用いられる。錆びに関しては、浮き錆びは必ず除去すること。鉄筋は結束線という径0.8mm程度の鉄線で組立て、鉄筋と型枠、鉄筋と捨てコンの距離(かぶり厚さという)を所定の寸法だけ確保するため、スペーサをはめる。

 鉄筋の結束作業を動画でみてみる。動画サイトへ

 最小かぶり厚さは、土に接する基礎・擁壁は60mmである。【最重要】その他のかぶり厚は以下のとおり。

部  位 かぶり厚さ
耐力壁を除く壁・床 2cm
耐力壁・柱・梁 3cm
直接土に接する壁・柱・床・梁
布基礎の立上り部分
4cm
立上り部分を除く基礎 6cm
(捨コン除く)

 上記のかぶり厚さは、施行令で定められた最低限の数値であり、JASS5で定めている設計かぶり厚さの標準値(仕上げなし)は、施行令の数値+1cmとなっている。

(5) 型 枠

 型枠用材料には合板、木製、鋼製があるが、浄化槽レベルでは合板のコンクリートパネル(コンパネ)が用いられる。
 型枠と型枠の間隔(つまりコンクリートの厚さ)を保持するのにセパレーターが用いられる。
 支保工は天井を作るような時に、型枠を下からパイプ等で支えるもので、これに欠陥があると非常に危険なため、型枠支保工には作業主任者が必要である。型枠及び支柱の取り外しに関しては、国土交通省告示で定められており、

・気温によって期間が異なる
・はり下の支柱は原則として28日(4週間)外さない
・大ばりの支柱の盛りかえ(支柱を動かすこと)は行わない  等がある。
 最近の型枠とセパレーターは簡単。動画サイトへ

(6) コンクリートの打ち込み

 コンクリートの打ち込み前に、浮き錆び、ゴミ、土などのコンクリートとの付着力を低下させる異物を取り除き、清掃して散水しておく。ポイントは

・シュートで打ち込む時は自由落下高さを小さくとり、コンクリートが分離しないようにする
・コンクリート振動機(バイブレータ)や突き棒で型枠のすみずみまで充填されるようにする
コンクリートの表面は金ゴテで水平に仕上げる
 コンクリート打設とバイブレーター。動画サイトへ

試験によくでる鉄筋コンクリートの性状

  1. 鉄筋コンクリートは、圧縮をコンクリートで負担し、引張りを鉄筋で負担する→だから、引張り側に鉄筋を配置する
  2. コンクリートの熱膨張係数は鉄筋のそれとほぼ等しい
  3. コンクリートはアルカリ性で、鉄筋の腐食を防いでいる→中性化したら鉄筋はNG
  4. コンクリートの設計基準強度は4週間(28日)後の強度を使う
  5. 理想のコンクリートを得るには、水を少なく、スランプを小さく、打ったあとは十分な水分→現実には難しい
  6. 練り混ぜから打ち込み終了までの時間の限度は、25℃未満で120分、25℃以上で90分が限度
  7. コンクリートの打ち継ぎの位置は、
    ・はり、床スラブ、屋根スラブ:その中央付近
    ・柱及び壁:床スラブ、基礎の上端またははりの下端
  8. 水/セメント比は重量比で、これが小さいほど強度が大きい
  9. ワーカビリチーとはコンクリートの作業のしやすさで、スランプ(下図)が代表例



  10. スランプが大きいほど軟らかく、普通コンクリートで10〜15cmである
  11. 打ち込み後の養生温度は、冬の寒冷期には最低5日間2℃以上を確保、夏場は25℃以上にならないようにする
  12. ブリージングとは、コンクリート打ち 込み後、内部の水が上昇して表面に集まること
  13. レイタンスとは、水分の上昇に伴って表面に出る微細な物質
  14. バイブレータは5〜15秒が標準
 スランプ試験を動画で見てみる。動画サイトへ

この章の過去問

1.栗石地業の目的は何か。
2.深く掘り過ぎた時のレベル調整はなんで行うか。
3.捨てコンの目的は。
4.コンクリートの強度は4週間強度を用いる。
5.基礎コンクリーのかぶり厚さは。
6.コンクリート打設時の注意事項はどんなものがあるか。
7.養生温度は2℃から25℃
8.バイブレータの時間は15秒ぐらい。
9.型枠支保工には作業主任者が必要
10.不正確な墨出しがもたらすデメリットは。