浄化槽概論
このページは、受験にあたって、過去問の傾向分析から頻出の語句を簡単に解説したものです。まぁアンチョコだね! と感じてくだされば結構です。。
日本の降雨量は?
- 1人当たりの年平均降水量を比較すると、日本の降水量は世界の降水量3分の1程度しかない。(意外に少ない)
水環境に関する知識
- 河川に排出された汚濁物質は、物理的・化学的・生物的作用により減少する。
- プランクトンは、自分自身に移動力がないか、あっても弱く、水に浮遊して生活している生物です。
- 赤潮とは、プランクトンの異常増殖により、水の色が赤褐色等に変わる現象です。
- フミン質は、動植物が土に埋もれ、微生物の働きによって分解・重合を繰り返して生成した有機化合物の総称。
- トリハロメタンは、メタンの4個の水素のうち3個が塩素や臭素、ヨウ素に置換された化合物の総称です。
- 水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する項目については、カドミウム、鉛等の重金属類、トリクロロエチレン等の有機塩素化合物、シマジン等の農薬等が設定されている。
- 水質汚濁に係る環境基準のうち、生活環境の保全に関する項目については、pH、BOD、大腸菌群数等の基準が定められている。
河川における有機汚濁物質の自浄作用
- 希釈される。
- 夾雑物が沈殿する。
- 酸化還元される
- 生物分解
自然界で分解されるもの
- 食用油、フェノール、低級脂肪酸、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)は分解されるが、ポリ塩化ビフェニル(PCB)は分解されにくい。
富栄養化でこんな現象が!
- 水の華の発生
- 閉鎖性水域における窒素やリンの増加
- クロロフィルaの増加
- 水道原水の異臭味の発生
河川湖沼の浄化に関する知識
河川や湖沼等の水環境に排出された汚濁物質は、希釈や拡散、沈殿などの物理的作用によりその濃度が低下するとともに、生物学的あるいは化学的作用を受けて分解され、徐々に無機化や安定化が起こる。
このような現象を自然浄化作用と呼ぶ。
閉鎖性水域における藻類の増殖に関する知識
- 増殖にはリンを利用する。
- 増殖にはBODを必要としない。
- 水の透明度が低下する。
- 昼間の表層水中の溶存酸素が上昇する。
- CODは上昇する。
水質汚濁に関連する用語とその説明
用 語 | 説 明 |
BOD | 生物分解可能な有機物質の指標 |
COD | 化学的に分解可能な物質の指標 |
TOC | 水中に存在する有機物質の炭素の濃度を表す。 |
DO | 水中に溶解している分子状酸素の濃度を表す。 |
ORP | 水中の酸化還元電位を表す。 |
n-ヘキサン抽出物質 | 水中に存在する油分の濃度を表す。 |
pH | 水溶液の酸性あるいはアルカリ性の程度を表す指標。 |
栄養塩類 | 水の華の発生要因 |
酵 素 | 生物化学的反応を効率よく、速やかに進める触媒作用を待ったタンパク質。 |
フミン質 | 植物などが微生物によって分解されるときの最終分解生成物 |
トリハロメタン | 水中に存在するフミン酸のような有機物が塩素と化合して生成されたもの。 |
加水分解 | 水と作用して生じる分解反応の総称で、タンパク質や糖類などの高分子化合物が、この反応によってアミノ酸やグルコース等に分解される。 |
酸化・還元 | 原子や原子団が電子を失う反応を酸化といい、逆に電子を受け取る反応を還元という。 |
水素供与体 | 生物化学的酸化還元反応において、還元物質としての水素の供給源となる物質。 |
水質汚濁に関する原因物質と影響の組み合わせ
原因物質 | 影 響 |
有機物質 | 溶存酸素の減少 |
窒 素 | 海域での赤潮の発生 |
アルキル水銀化合物 | 水俣病の発生 |
アスベスト曝露 | 中皮腫(癌)の発生 |
フミン質 | トリハロメタンの生成 |
窒素に関しての知識
- 動植物の細胞を構成しているタンパク質には、窒素が含まれる。
- 窒素ガスは、大気の約78%(大雑把に80%でもいい)を占める。
- 酸素ガスは、20.9%(大雑把に21%でもいい)
- アミノ酸や尿素は、有機性窒素化合物。
- マメ科の植物に着く根粒菌には、窒素ガスをアンモニアに変える機能を有するものがいる。
- アンモニア性窒素は、好気性微生物で酸化されると亜硝酸性窒素さらに硝酸性窒素になる。
- アンモニア性窒素が酸化されるとpHが低下する(亜硝酸、硝酸は酸だから)。
- 亜硝酸性窒素はCODとして測定されてしまう(亜硝酸性窒素1でCOD1.14mg/L)。
- 亜硝酸性窒素と硝酸性窒素は、嫌気性状態で微生物の呼吸により窒素ガスと水になり、その結果、窒素が還元除去される。
- 亜硝酸性窒素と硝酸性窒素が窒素に還元されると、低下したpHが回復する(酸が減少するから)。
リンに関しての知識
- 生物の遺伝を司る核酸(DNA)の構成要素。
- 動物の骨の構成要素です。
- 生物におけるエネルギー貯蔵物質の構成要素。
- 細胞膜の構成要素です。
- 嫌気処理→好気処理でリンが過剰に微生物に取り込まれる。
塩素消毒に関しての知識
- 消毒とは、人体に有害な病原微生物を殺滅すること。
- 塩素消毒は、塩素の酸化作用を利用している。
- 塩素が水に溶解すると、次亜塩素酸が生じる。
- 消毒用錠剤の成分として、塩素化イソシアヌール酸が利用できる。
- 消毒用液体では、次亜塩素酸ナトリウムなどが用いられる。
- 遊離型有効塩素は、結合型有効塩素(クロラミン等)よりも消毒効果が高い。
- 次亜塩素酸がアンモニアと反応すると、クロラミンが生成する。
- pHによって、塩素消毒の効果は左右される。酸性で消毒効果が高い
- 紫外線は消毒効果の残留性がない。安全だが少し弱い。
- 塩化物イオン(例えば塩水)には、消毒効果はない。
汚水処理に関する微生物とその関連事項の組み合わせ
微生物 | 事 項 |
グラム陽性菌 | グラム染色法で青く染まる細菌群の総称。 |
糸状性の菌類 | 細菌の増殖が阻害される環境条件下で増殖することがある。 |
藻 類 | 酸化池等で酸素の供給に貢献する。 |
原生動物 | 種類や量から生物処理の状況を推測することができる。 |
微小後生動物 | 細菌類や原生動物を捕食するが、異常に増殖することも。 |
原生動物とは?
- 原虫ともいわれる。
- 細菌類と同様に単細胞生物。
- 細菌類や藍藻類は核膜を持たない原核生物。
- 処理水質が良好な場合には、固着型のVorticella属が多く観察される。
- 有害物質が流入すると、匍匐型のAspidisca属が減少する。
後生動物とは?
- 原生動物を除いた多細胞生物の総称。
- 多くは数mm以下の大きさであるため、微小後生動物といわれる。
- 生物処理の良否を判定する指標として利用されることがある。
- 異常増殖すると、処理水の水質が悪化することがある。
- 細菌類や原生動物等を摂取するため、汚泥の減量につながる。
1にこだわった単位に関する記述
- 1 μmは、1mmの1,000分の1です。m(ミリ)は10-3、μ(マイクロ)は10-6、n(ナノ)は10-9、と10-3ずつ小さくなる。反対に、k(キロ)は103、M(メガ)は106、G(ギガ)は109
私が大昔、中学校で教わった呪文です。“キロキロと,ヘクトと出かけたメートルが,デシ(弟子)に追われて,センチミリミリ”。今はどんなふうに憶えるのでしょうか。すべて10-1ずつ小さくなっていく。
- 1 ppm は、1%の10,000分の1。(%は百分率、ppmは百万分率)
- 1 ppt は、1 ppb の 1,000分の1。
- 1 ‰(パーミリ)は、10%の100分の1です。これは鉄道などで“勾配”に使われる。
- 1 Lは、1m3の1,000分の1。
重量百分率で5%の食塩水を作る方法
5gの食塩を水に溶かし、さらに水を加えてトータル100gとする。ところが、これを100 mLにすると、分子がgで分母がmLとなり単位が異なるから%表示にはならない。
生活排水や産業排水による河川の水質汚濁について
生活排水や産業排水が河川に排出されると、排水に含まれる有機物質が生物化学的に酸化分解される。有機物質の分解に伴って、水中に溶解した分子状の酸素である溶存酸素が消費される。溶存酸素は、大気中から水中に酸素が溶解することによって供給されるが、その供給速度は河川流速や水温の影響を受ける。消費される溶存酸素の量が大気からの供給量より多くなると溶存酸素は減少し、魚介類が生息できない状態となったり、嫌気的状態の底層から悪臭が発生したりする。
生活排水処理について
- 我が国においては、公共用水域の水質保全上、生活雑排水の対策の必要性が高い。
- 雨水と生活排水を同じ管路で集める合流式下水道では、雨水の量が多い場合、未処理の下水が公共用水域に放流されることがある。
- 平成12年6月の浄化槽法の改正により、合併処理を浄化槽と定義した。単独処理は「みなし浄化槽」とした。
戸建て住宅用浄化槽の長所は、と問われれば
- 設置に要する期間が短いため、投資効果の発現が早い。
- オンサイト(排出現場で)の処理システムであるため、小河川の自然浄化能力を活用することができる。
- オンサイトの処理システムであるため、敷地外の管きょ工事が不要あるいは管きょ工事費用が少ないことから、設置費用は比較的安価となる。
- 設置場所は、山間地などの地形の影響を比較的受け難い。
- BOD除去率90%以上、放流水のBOD 20mg/L 以下の処理性能を達成できる。