(6) 高度処理

注意:旧構造基準は「し尿浄化槽の構造方法」と呼ばれる。第*は従来と同じ。

凝 集−構造方法第7,8,9,10,11に採用されている

 重力沈降では分離できない粒子を薬品で多数合一させ(凝集という)、成長させて沈殿、浮上、濾過するのを凝集処理という。ストークスの式から、粒子径が2倍になると、沈降速度は4倍(2の二乗)になる。

 薬品は凝集剤といい、アルミニウム塩(硫酸バンド、PACと呼ぶポリ塩化アルミニウム)や鉄塩(ポリ鉄、塩化第二鉄ほか)が用いられる。一般に粒子の表面は負の電荷に帯電しており、お互いに反発している。凝集剤はこれを中和して凝集しやすくするものです。凝集剤には高分子凝集剤もあるが、これは凝集助剤として使うのが普通です。

 薬品凝集のもう一つの目玉として、リン除去がある。汚水中のリンはアルミニウム塩や鉄塩と化合し、水に不溶性のリン酸アルミやリン酸鉄となって除去される。さらに、着色成分も除去できるなど、高度な処理水が得られるが、反面凝集汚泥の発生量が増加し、その処分が最大の問題です。凝集反応に30分、沈殿に3時間程度要し、pHの自動調整も必要だ。

濾 過−構造方法第7,8に採用されている

 濾過には緩速濾過と急速濾過がある。緩速濾過は濾過速度が遅く、広大な敷地を要するため、水処理ではもっぱら急速濾過機が用いられる。急速濾過機は、1ミリ程度の均等な砂またはアンスラサイト(無煙炭)を40〜90cmの高さに充填し、4〜6m/時の速度で通水するもので、SSが多かったりすると濾過層の目詰まりが早く、逆洗の頻度が上がる。従って、二次処理水をそのまま濾過するのではなく、接触ばっ気+沈殿槽を経てから砂濾過にかけるようになっている。

 構造方法では濾過機は2基以上必要で、逆洗水は流量調整槽に移送する。条件さえ良ければ、凝集と濾過を同時に行う”凝集濾過”も可能であるが、構造方法では認められていない。

 ちょっと難しいが、ろ過における浮遊物質の捕捉機構は三つあり、①ろ材によるスクリーン作用、②ろ材空隙における沈殿作用、③ろ材表面への吸着作用。

吸 着 −構造方法第8にだけ採用されている

 吸着は主として粒状の活性炭を用いる。装置は砂濾過とよく似ており、活性炭層を流す間に着色成分や有機物が低レベルまで処理される。ただし、イオンになっている窒素(アンモニア等)は吸着されない

 砂濾過と異なる点は、砂濾過は通水速度が重要視されるのに対し、吸着操作は処理する水が何時間滞留して活性炭と接触していたかというのが重要です。一般的にはSV(空間速度)といい、滞留時間の逆数で表わす。SV=2なら1/2時間つまり30分、SV=4なら1/4時間で15分です。構造方法ではSV=2〜4であり、2基以上必要で、逆洗水は流量調整槽に移送する。

 活性炭はその表面積が非常に大きく、1gで約1000m2にもなる(比表面積という)。この表面に有機物が吸着されるから、当然その吸着能力には限度がある。この場合は活性炭を外部に取り出して再生処理する必要がある。元来高価な活性炭であり、再生費用も高いことから、第8ではCOD10mg/L以下の規制地区に対応している。または、排水を再利用してトイレの洗浄に使うなど、排水処理で新たな価値が付加される場合に採用される。

生物学的脱リン法 −まだ構造方法には採用されていない

 リンを過剰に蓄積するある種の微生物は、嫌気状態ではリンを吐き出し好気状態では吐き出した以上のリンを取り込むことが分かっている。この現象を利用すると、生物学的に汚水中のリンを除去できる。ただし、リンは汚泥中に含まれるから、この汚泥を系外に抜き出すことによって初めてリンが除去されたことになる訳で、単に嫌気・好気を繰り返せばリンが除去されるわけではないことに注意する必要がある。つまり汚泥のコントロールが絶対条件で、その意味では、家庭合併槽に採用されている嫌気濾床・接触ばっ気方式などの生物膜法では難しいといえる。

膜分離法−まだ構造方法には採用されていない

 汚水中の有機物を活性汚泥で処理し、活性汚泥と処理水を膜を使って分離する。処理性能はBODで5mg/L以下が期待できる。ただし、窒素は単純に分離できないので、上記の硝化・脱窒操作と組合わせる必要がある。
 大腸菌群も膜で分離できるが、ウイルス等を考慮すると、消毒操作は必須です。

流入水と膜が直接接触すると汚水中のコロイド状の物質などにより膜が目詰まり(ファウリング)を起こし、得られる処理水量が減少してしまう。そこで、立ち上げ時に反応槽(ばっ気槽、脱窒槽、硝化槽)にシーディングを行い、目詰まりの原因物質を微生物フロックに吸着変換し膜分離を行う必要がある。添加する汚泥濃度は、MLSSで3,000mg/L以上が好ましく、これ以下では膜が目詰まりし易くなる。また、5,000mg/Lを超えないようにする。なお、運転時の適正なMLSSの範囲は、5,000〜15,000mg/L程度といわれている。

維持管理法
 透過流束の確認は重要で、大きくし過ぎると膜の目詰まりの原因とる。また、立ち上げ直後に、発泡が激しい場合は消泡剤を用いるが、シリコン系は膜を閉塞させるおそれがあるので、アルコール系消泡剤を使用するとよい。
 ファウリングを起こして透過流束が低下した場合は、次亜塩素酸ナトリウム10〜12%溶液を20倍希釈し0.5〜2時間静置する。この塩素剤は洗浄後、用意しておいた0.5%のチオ硫酸ナトリウム溶液を投入し、中和してから運転を再開する。