浄化槽の施工技術

 それでは、環境省・国土交通省共同省令に添って、FRP製浄化槽の施工技術について、施工計画から始まり、仮設工事、施工前の本体検査、土工事、据え付け工事、特殊工事、配管工事、電気工事、機器据え付けまでのポイントを勉強していこう。

施工計画をたてる

 浄化槽の計画に当たっては、次の項目について十分チェックする。

  1. まず各種の法令、規則、基準を調べる。
    • 基本法規である浄化槽法だけでなく、関連法規である 建築基準法、水質汚濁防止法を理解し、遵守する必要がある。とにかく抜けのないように!

  2. 処理対象人員を算定する
    • 処理対象人員は国土交通大臣が指定した方法つまりJIS A3302-2000で求めるが、基本は建物の延べ床面積か定員である。特に延べ床面積の定義等は難しく、経験も必要である。

  3. 浄化槽の選定する
    • 処理水質、設置条件に留意が必要。50人以下では具体的には イ)現場打ちか工場生産浄化槽か、ロ)分離接触ばっ気方式か嫌気濾床接触ばっ気方式か、など。

  4. 設置場所の選定する
    • トイレ、雑排水の排出点に近いところに設置する---- 離れていると浄化槽が深埋めになり、ポンプ槽が必要になることもある。
    • 車庫、物置等の建物の中には設置しない----臭気で問 題が発生する。バキューム車のホースが届かない場所はNG
    • 隣人の玄関先や飲食店の出入り口には設置しない---- 維持管理や汚泥引き抜きがやりにくい。
    • 放流先がない場所や水がたまり易い場所には設置しない----とにかく避ける。

  5. 設置のための申請をする
    1. 新たに建築物を設ける場合既設の汲み取りトイレを改造する場合の二とおりある。
      1. 家屋等の新築に伴って浄化槽を設置する場合 建築確認等の手続き[建築基準法]
      2. 水洗化のために既存の汲み取りトイレを改造し浄化槽を設置する場合[浄化槽法]
               
          都道府県知事(政令市長)に届け出⇒①生活環境、公衆衛生の観点から改善勧告ができる
               
          特定行政庁に届け出⇒②構造基準に照らし、変更・廃止命令ができる
        ①②とも受理日から21日以内に行われる。型式認定浄化槽は10日以内と優遇。

    2. 搬入、据え付け時の道路使用許可や道路占有許可が必要なこともある。→その他工事関係のページ参照

  6. 管理計画をたてる(以下の4つが主)
    • 品質:その他工事関係のページ参照
    • 原価:その他工事関係のページ参照
    • 工期:ネットワークのページを参照
    • 安全労働安全衛生法を参照

この章の過去問

  1. あなたが実際に行った浄化槽工事の設置届けの空欄をうめよ。
  2. この時に安全上最も留意したポイントを簡単に述べよ。
  3. 管理計画の4つのポイントとはなにか。
  4. 品質管理の効果について問う。
  5. 次の建築物の処理対象人員を計算せよ。延べ床面積145㎡の戸建住宅
  6. 特定行政庁の定義と、改善勧告ができる期間を問う。
  7. 浄化槽の設置場所として不適当なところを4つ記せ。