(4) 生物処理(好気−嫌気処理)

 省エネで汚泥発生量が少ないという特長をもつ嫌気を前段に、良好な処理水が得られる好気を後段に配したのが、嫌気/好気組み合わせの家庭合併槽である。単独槽とほぼ同じ能力のブロワーで処理水BODが20mg/Lという性能が得られている。

 この嫌気/好気処理の目玉は、窒素除去である。好気性処理でアンモニアを亜硝酸や硝酸の形に変えた後に、有機物を加え、これを嫌気状態に置くと窒素がガスとなって除去される。この反応は次の式で表わせる。

 この反応をつかさどる微生物は通性嫌気性菌と言い、通常の活性汚泥に十分含まれている。この菌は酸素があれば酸素呼吸し、酸素がない状態では、亜硝酸(NO2)や硝酸(NO3)の結合酸素をむりやり奪い取って呼吸する。これを硝酸呼吸ともいう。

 この結果、窒素がガスN2となって放出される。ところが、前述のとおり硝化が十分進んだ汚水中には有機物、つまりBODがない。そこで、硝酸や亜硝酸を含んだ液を前段の嫌気槽に循環すれば反応の条件が整う。これが嫌気・好気循環方式の脱窒法である。

 また、脱窒反応では水酸イオンが生成されるため、硝化反応で下がったpHが回復する点も見逃せない。百年以上も連作を続けている水稲が、連作障害を起こさないのも、水田の硝化脱窒作用のおかげともいわれている。

 簡単な嫌気/好気脱窒法は、一般の嫌気濾床+接触ばっ気(循環)型の家庭用の小規模合併槽です。

 2槽式の嫌気・好気脱窒法のほかに、生物学的に窒素を除去する方法に次のようなものがある。

 間欠ばっ気法:嫌気槽と好気槽を2槽に分けず、時間ごとに嫌気状態と好気状態を繰り返すのが間欠ばっ気法である。連続的に処理できるのが特徴。
  連続流入→撹拌(嫌気)→ばっ気(好気)→沈殿槽 →連続放流 

 回分式浄化槽:一つの槽で 流入→撹拌(嫌気)→ばっ気(好気)→沈殿→上澄み排出 を行うものである。連続的に処理ができない。

 いずれの方式も必ず嫌気と好気の組み合わせである。