(7) 小容量型浄化槽(いわゆるコンパクト型)

 小容量型浄化槽(いわゆるコンパクト型)の販売が開始されて随分時間が経過した。
 このコンパクト型は、二次処理に担体流動や生物濾過方式を用いて処理性能を向上させ、全体容量を旧告示型の約70%にするもの。従って設置スペース、残土処分など施工性で優位にあり、現在では総出荷台数の90%以上にものぼっている。
 製造メーカーごとに生物処理の方式や名称、槽内部の構造や送風機のタイマー設定等が微妙に違うあが、その基本は一緒。

 そこで、生物処理の原点である活性汚泥から接触ばっ気、そして担体流動、さらに生物濾過の設計思想をもう一度勉強してみよう。

まずは活性汚泥法から

■干潟の泥などを採取して、少し汚れた水を混ぜ、空気でブクブクばっ気すると、いつの間にか水がキレイになる、ということは昔から知っている。
これを流れにしてみると、下記のようになる。


①干潟の泥を採ってきた。
②汚水を入れてばっ気してみた。
③ばっ気を止めてしばらく放置しておいた。
④上澄み液がキレイになっていた。

こんな感じ。

■この活性汚泥法のポイントは、
・餌(BOD)を摂取して ⇒汚泥が増える。
・最適ばっ気時間は8時間 ⇒標準活性汚泥法という。
・長~く ばっ気すると汚泥が増えない。 ⇒長時間ばっ気法という。
・短いばっ気では汚泥が沢山増える。 ⇒汚泥再ばっ気法という。

■この活性汚泥法のウイークポイントは、
・餌(BOD)を摂取して⇒邪魔な汚泥が増える。
・汚泥のバルキング(膨化)がやっかい。

そこで現れたのが接触ばっ気法

■昔から、「三尺流れて水清し」といわれていた。川の水は三尺(91cm)流れると清くなるという、川の浄化作用が早いことをいったもの。また、「川下三尺」ともいい、洗濯しているすぐそばの川下で平気で野菜を洗ったりしていた。
これは川底に付着した微生物が汚水を浄化していた、ということ。
これを絵にしてみると、下記のようになる。


①川底に生息する微生物と、水面からの酸素があれば浄化できる。
②この川底が2枚あれば浄化に必要な流下距離は 1/2 だ。

 川底のようなプラスチック板を垂直にして枚数を増やし、ばっ気した。装置化するとこんな感じ。

■この接触ばっ気法のポイントは、

・汚泥と処理水を沈殿分離する必要がない。 ⇒沈殿槽は無くてもいい。まあ、念のため設置しよう。

■この接触ばっ気法のウイークポイントは、

・負荷が高いと汚泥はどうしても増えていく。 ⇒閉塞する。

・川底の面積を増やすと間隔が狭くなり、酸素が行き渡らなくなる。⇒比表面積(m2/m3)に限界がある。

■もっと槽容量を小さくできないか、と考えた。

・微生物の量を増やせば、流入するBODが同じなら、早く処理できるだろう。

・早く処理できるなら、滞留時間が短くてすむから、槽の容量は小さくなる。

■簡単に考えれば、

・接触ばっ気法の接触材の間隔を小さくし、同じ容量でも生物膜が付着できる面積を増やしたらどうだろうか。

■その問題は、

・生物膜が厚く付着すると、接触材の隙間が増殖した微生物で閉塞してしまう。

・すると、この接触材は絞った雑巾と同じで、内部が全く機能しなくなる。

■そこで、

・生物膜が付着するもの(担体という。)を常時流動させながら、お互いが擦れるようにしたらどうか。
 ★化学反応でよく使う「触媒」。この触媒を付着させるものを「担体」という。アルミナとか珪藻土とかが使われる。

・担体が小さければ小さいほど生物が付着できる面積は増大するはずだ。


①1cm角のサイコロの表面積は6面体だから 6cm2だ。
②真ん中で縦二つに切ってみる。⇒2面増えて 8cm2になる。
③これを繰り返すと表面積がどんどん増加する。これで12cm2 2倍だ。

こうして小さく切っていった担体を反応槽に充てんし、連続的に処理してみる。

■この担体反応槽のポイントは、
  ・比表面積(m2/m3)が接触ばっ気の10倍以上⇒だから、装置をコンパクトにできる。
・逆洗の必要がない。
・微生物の寿命が長い。⇒硝化反応が期待できる。
・浮く担体か沈む担体かで、水の流れは全く逆になる。沈む担体なら「下向流」、浮く担体なら「上向流」。

■この担体反応槽のウイークポイントは、
・常に表面の微生物は剥離される。⇒後になんらかの「濾過工程」が必要
・高負荷には弱い⇒増殖した生物で担体が閉塞する。

最後に生物濾過

■担体が擦れて剥がれた生物膜を強制的に濾過してしまえ!
・そうすれば沈殿槽も要らないし、透視度も向上するはずだ。
・でも、濾過は捕捉した浮遊物質で必ず閉塞する。定期的に逆洗が必須だ。
・逆洗は濾材(担体)をばらばらにして洗浄する。空気も併用して担体を「芋洗い」すると効率がいい。
・でも、従来のようなブロワと浄化槽本体を1本の空気配管で繋ぐだけ。という工事では済まなくなる。

 こうして出来上がったものが「担体流動+生物濾過方式」。以上の思考プロセスをじっくり読んで下図をみてみよう。これが工程図。


 生物濾過といっても、この工程は濾過工程そのものだ。担体の大きさ、比重、材質、細孔径。逆洗の回数、時間、逆洗水量・・・・、いろいろと微妙な検討が充分になされている。