汚水処理の原理

 汚水処理の原理は、(1)浮遊物や夾雑物を重力を利用して除去すること。(2)微生物によって有機物を分解すること。(3)塩素などの酸化力で消毒すること。 のわずか3点である。以下、順を追って勉強しましょう。

 この3つの原理がどう浄化槽に組み入れられているか、まずはメーカーの動画をみてみよう。“よく出てくる用語”を憶えることは合格の近道です。動画サイトへ

(1)沈殿と浮上

 まず、汚水を静置すると、水より重いものは沈殿し、水より軽い油のようなものは水面に浮上する。また、下部に沈殿したものも時間が経つと腐敗し、ガスを発生して浮上してくる。このようにして、汚水中の浮遊物や油分が除去され、沈殿物と浮上物(スカムという)の中間に、原水よりきれいな分離水が得られる。

 粒子が沈降または浮上する速度は、ストークスの式で表わされる。それによると沈降速度(正確には終端速度という)は、

 ・粒子の直径の2乗に比例  ・粒子と水の密度差に比例   ・水の粘度に反比例 する。

 粒子の径の2乗に比例するのは大きい。粒子の径を2倍にすると沈降速度は4倍にもなる。つまり凝集剤を持っているといろいろな場面で有効。
 冬季、水温が低いと水の密度が大きくなって、沈降しにくくなる。反対に油分の浮上に関しては、水温が低いと浮上しやすくなる。

 重力分離で除去できるのは、数十ミクロンが限度(1ミクロンは1/1000㎜)。これ以下のものを除去するには、薬品で粒子を凝集させて粒子径を大きくするか、強制的に濾過するか、の二とおりである。

 🍎ストークスの式はよく出ます。でも式自体を憶えることもないでしょう。


ここで、Vt:沈降速度、Dp:粒子の直径、ρd:粒子の密度、ρl:水の密度、μ:水の粘度

 凝集剤の効果の一例をみてみる。⇒ 動画サイトへ