vol 198:牢獄





(帰りたい・・・。)





『イエス、今日もスケジュールだが、。』

『はい、お父さん。』





(ねぇ!ここから出してよ!
ねぇってば!。)

地獄は最初は僕の自由で、楽しかった。

誰も僕に逆らわない。

僕が怖いから。

ううん、僕にはサタンがいるから。

でも、話し相手はヘラだけ。

他は誰も居ない。

(イエス、静かにしてちょうだい。)

(ヘラ!ねぇ、ヘラ!
僕、ここから出たい!。)

闇の住人に声を掛けても誰も無視をする。

現実の世界と何ひとつ変わらない。

(イエス・・・何度言わせるの?
貴方は、もうここから出ることは出来ない。
サタンと契約したじゃない。)

ヘラは優しくて好きだ。

でも、僕を子ども扱いしかしない。

まるで、小さな子どもに対しての扱い。

(契約なんか破棄だ!
僕は、ここから出たいんだ!
自分の体に戻りたいんだ!。)

ドアを叩く。

ヘラがクスリと笑ったことに僕は、

苛立って、近くにあった物をヘラに投げつけた。

ヘラの腕に当たると、ヘラの表情が変わる。

とても冷酷な冷たい表情に。

(・・・。)

(ぼ、ぼく・・・出たいんだ・・・。)

涙が溢れるとその場に僕はしゃがみこんだ。

ヘラはゆっくり近づいて僕を抱きしめる。

(イエス?貴方が望んだ事よ?
泣かないで、坊や。)


ヘラが横になってる時に、僕は自分の肉体に集中した。

戻りたい。

戻りたい。



『・・・。』

『イエス様、いかがなされましたか?。』

『うん。少し疲れたから休みます。
すみません・・・。』




戻りたい。

戻り・・・。

勢い良くドアが開いた。

(あら、サタン。)

ヘラも起きる。

寝る事のないこの世界で、

ヘラはなぜか睡眠をとるんだ。

サタンは僕の所に来て、僕の首を掴んだ。

「君・・・どういう事?。」

(ぼ、僕は・・・。)

ジリジリと首を絞めるサタンが怖かった。

(サタン!やめてちょうだい!。)

ヘラがサタンの腕に触れる。

「いいかい?イエス。
君は悪魔と契約を交わした。
それは解消なんて出来ない。
君が望んだことを僕が現実にしてあげたんだ。
無駄に気を使わせないでくれない?。」

サタンの手が離れた。

(この中に・・・僕は一生この中から出られないの?!。)

「そうだねぇ。
どうせ、ここも、近々反乱が起こる。
この部屋からは出られるだろうね。
でも、この地獄からは出ることは出来ない。」

サタンはニッコリ笑んで出て行った。

ヘラは言う。

(大丈夫よ。貴方は私が守ってあげる。
永遠に私のもの。心配しないで。)

僕は、取り返しのつかない事をしたことに、

今気付き、既に遅いことにも気付いた。




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