vol 196:カン




「・・・。」

ここって・・・どこや。

目を閉じるとすぐに真っ暗な世界から、

戦場へと変わる。

ババババババ!。

ドカーーーーン!。

耳に響き渡る銃声に爆音。

辺りは火の海で逃げ回る人々。

俺はまるで、その場所のど真ん中に立ってるみたいや。

空は暗く、

異様なこの景色。

この前の災害も酷かったけど・・・、

これとは全然違う。

(きゃあ!。)

少し離れた視界の中で女性が倒れた。

俺はその女の人を見つめて、近付いて腕を掴むと、

その女の人の腕の皮膚はずる剥けになり目を見開いて離す。

女の人が俺に顔を向けた。

その顔の皮膚も垂れ下がり段々おぞましい姿へと変わっていく。

「うわっ!。」

女の人のドロドロになった手は俺にしがみついた。

これは戦。

爆撃の音に、この人間の光景。

俺にしがみついてた女の人が呻き声を上げる。

(あぁぁ・・・うぅぅ・・・。)

女の人は俺の目を眼球だけの顔で見つめ、

何か訴えてる様に思ったから、

「どうした?痛い?。」

そう言って誰か手を貸してくれる奴がおらんか辺りを見渡した。

(助けて・・・。)

(たす・・けて・・・。)

すると周りから這いずって俺の所まで来るススだらけで傷を負い、

手がちぎれている女、こども。

なんちゅう数や。俺一人じゃどうにも出来ん。

そんな俺の視界に飛び込んで来たのは、

血だらけになった母さん、弥勒や大樹、シロに松吉、千代さん。

「っ!。」

俺は目を見開いた。

「か、母さん!弥勒!大樹!シロ!松吉!千代さん!。」

それぞれの名を呼び、

みんなの周りには、阿弥陀、薬師に大日、

主に天界の神、全ての神々が居て、

その光景を黙って見てる。

俺に群がる傷を負った人々。

黙って見ている神々に俺は苛立った。

「なんでや!なんで黙って見てるんや!。」

なんで・・・。

阿弥陀如来が俺を見て呟く。

(これが人の行い。
人の定め。)

俺に群がっていた全ての人が全員赤ん坊になる。

皮膚がただれ、腕がちぎれ、

無残な赤ん坊になって泣いている子もいれば、

地面に横たわったまま動かない子。

俺は跪いて顔を左右に振った。

「ちがう・・・そんなんやない・・・。
この子どもらは関係ないやないか・・・。
こんなん・・・定めやない・・・。
ただの拷問やんか・・・。
ちがう・・・こんなん間違ってる・・・。」

その自分の悲しみと共に目を覚ます。

涙で濡れた顔を枕に押しつけて声を殺して泣いた。





                196       次のページ








195話に戻る
戻る

花手毬