vol 195:白蛇神





「ン・・・・。」

ここは・・・。

目を閉じるとすぐに真っ暗な世界から、

戦場へと変わる。

ババババババ!。

ドカーーーーン!。

耳に響き渡る銃声に爆音。

辺りは火の海で逃げ回る人々。

我はまるで、その場所のど真ん中に立っている様だ。

空は暗く、

異様なこの景色。

この前の災害も酷かったが・・・、

これとは全然違う。

(きゃあ!。)

少し離れた視界の中で女性が倒れた。

我はその女を見つめ、近付いて腕を掴むと、

その女の腕の皮膚はずる剥けになり目を見開いて離す。

女が我に顔を向けると、

その顔の皮膚も垂れ下がり段々おぞましい姿へと変わっていった。

「・・・。」

女のドロドロになった手は我にしがみつく。

これは戦。

爆撃の音に、この人間の光景。

我にしがみついていた女性が呻き声を上げる。

(あぁぁ・・・うぅぅ・・・。)

女は我の目を眼球だけの顔で見つめ、我は、

「安心しろ。安全な地へ連れて行ってやろう。」

そう言ってその女を抱き上げようと膝を地面につけた。

(助けて・・・。)

(たす・・けて・・・。)

すると周りから這いずって我の所まで来るススだらけで傷を負い、

手がちぎれている女、こども。

数が多い。我一人ではどうにもできない。

そんな我の視界に飛び込んで来たのは、

血だらけになった兄様が倒れている。

「あ、兄様っ!。」

女から離れ、

兄様の元に駆け出そうとしたとき、

足を強く掴まれ地面に我は動けなくなった。

「っ!。」

掴まれた足を見ると、

今我が助けようとしていた女が両手で我の足に抱きつき、

(た・・すけて・・・たす・・け・・て・・。)

「・・・!。」

(た・・すけて・・たすけ・・て・・・。)

(たすけて・・たすけて・・。)

あちこちで我に向かって這いずって来る人達が助けてと口にしだした。

兄様を見ると、

兄様はゆっくり目を開けて我を見つめ、

その顔の皮膚は女のように垂れていき、眼球が飛び出し、

(し・・し・ろ・ぉ・。)

「あ・・・兄様ぁあああああああ!。」

その自分の叫び声と共に目を覚ます。

飛び起きて辺りを見渡すが、

ただ自分の部屋。

我に不安、悲しみ、絶望が押し寄せて来る。

「兄様・・・。」

手足が震え幼い体で床に膝まづいた。

自分の震える両手を見つめ、

その手を俯いた顔に押し当てた。

「これが修業だと言うのか。」

その後に何をどうするか考えさせられるのではなく、

ただ、自分の一番の恐怖を見せられるだけだと言うのか。




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