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vol 193:弥勒
「ここは・・どこだ・・・。」
目を閉じるとすぐに真っ暗な世界から、
戦場へと変わる。
ババババババ!。
ドカーーーーン!。
耳に響き渡る銃声に爆音。
辺りは火の海で逃げ回る人々。
俺はまるで、その場所のど真ん中に立っている様だ。
空は暗く、
なんなんだこの景色。
この前の災害も酷かったが・・・、
これは全然違う。
(きゃあ!。)
少し離れた視界の中で女が倒れた。
俺は慌てて女に近付いて腕を掴むと、
女の腕の皮膚はずる剥けになり目を見開いて離す。
女が俺に顔を向けると、
その顔の皮膚も垂れ下がり段々おぞましい姿へと変わっていった。
「っ!。」
女のドロドロになった手は俺にしがみつく。
なんなんだ・・・これ。
人間・・・だよな?。
俺のした行動とは、その女のしがみつく手を振り払っていた。
「は、離してくれ!。」
(あぁぁ・・・うぅぅ・・・。)
呻き声をあげる女は俺の目を眼球だけの顔で見つめて、。
「は、離せぇえ!。」
恐怖がこみ上げる。
(助けて・・・。)
(たす・・けて・・・。)
足に次々にしがみつくススだらけで傷を負い、
手がちぎれている女、こども。
そんな俺の前を一人の男が横切った。
「か、カン!。」
カンは足に人間にしがみ付かれているにもかかわらず、
その人間を無視するかのように引きづって歩いている。
「カン!おまえ、人が!。」
カンは俺に向いて目を細め、
「なんや?弥勒・・・。俺にもお前みたいに、
助け求めてしがみついてる人間に向かって、
離せぇぇええええ!
言うたらええんか?。」
俺に向かってどんどん人間が地面を這いずって、
群がって来た。
「カン!カン!俺はどうすればいいんだっ!!!。」
叫ぶ俺にカンは笑みを溢し、
「振り払う?。」
目を見開いて俺は叫んだ。
「かぁぁあああああん!!!。」
勢い良く体を起こす。
汗というか寒さでどうしようもない。
「おい・・・嘘だろ?。」
これが修業って言うのか?。
毎日こんなもん体験させられんのかよ。
大樹・・・カン・・・シロ・・・。
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