vol 184:光を帯びる者







『さぁ!神々を称えるのです!
称え敬う者が必ず救われる!
信じるのです!
死にたくない、楽園に行きたい者は祈るのです!。』

讃美歌が響き渡る神の家、

教会で、僕は人間にそう告げる。

神々にと言っているのに、

馬鹿な自分しか考えていない人間は、

僕に祈りを捧げるんだ。

この苦痛ですらない神の家で僕は人間を滅びと、

憎しみを抱かせる基礎をつくる。

人間の祈りは僕に捧げられているのだから、

うるさいくらいに耳に届いて来る。

神様、どうか私たち家族をお救いください。

私たち。

私たち。

私たち。

私たちという言葉だけを聞くと、

全ての人間が含まれている様に聞こえるけど、

感情は違う。

まず自分。

自分が1番に居て、自分の家族が順に並ぶ。

誰ひとり、自分の身内以外の願いなど、。

(神様!どうか、どうか、この地球と、
そして愛に飢えたサタンをお救いください!。)

『?!。』

この想いを祈った者に目を向ける。

「・・・カン。」

集会が終り、カンを呼ぶ事はしなかった。

必ず来ると思ったから。

『イエス様、日本からいらっしゃった方が、
イエス様のご友人だとおっしゃられているのですが。』

『通してくださって結構です。』

わざわざ海外の僕に会いに来るとは異変でも起きたか。

「だぁぁぁ!もう!なんで日本語出来る奴おらんねん!。」

文句を言って現れた戦友とでも言おうか。

「いまだに英語も出来ないのかい?。」

クスクスと笑って見せる僕に、

「ちゃんと言うたし・・・。
イエス マイ フレンド!って。」

相変わらずのカン。

いくら考えても理解しがたい。

どうして神の子という存在なのに、

もっと傲慢にならないのか。

サタンの僕よりも、堂々と、

神の子で人間の為に生れてきたと言えるのに。

なぜ態度にも言葉にも出さず、

普通の弱い人間としているのか。

「しっかしあれやな。
お前どんだけやねん。SPまでついてるやん。」

「僕を不快に思う宗派もいるからねぇ。
まぁ、僕をと言うよりも、僕よりも、
自分達の方が選ばれし人間だと思ってる奴ら。」

「選ばれし人間なぁ~。
でも、そいつらを作ったんはお前やろ?。」

「あぁ、昔ね。
お前が神の子だ、他の宗派は悪魔だって教え込んだんだ。」

ニッコリと僕は笑みを浮かべる。

「なぁ、ルーちゃん。」

「るー・・ちゃ、ん?。」

「あぁ、いやぁ、俺お前んことイエス言いたないし?。」

「だったら、サーちゃんになるんじゃ?。」

「ん?ルシファーのル。」

過去の自分の名前。

「そのネーミングは嫌だなぁ。」

「せやけど・・・いまだにお前が大事にしてる名前やん。」

「?!。」










「そうだな、お前の名はルシファーにしよう。」

「ルシファー?。」

「そうだ。人々の言葉で光を帯びた者という意味を持つ。」









「カン、僕は、。」

けして大事になどしていない。

「そうや、ルーちゃん。
話しあるんやけど、誰もおらんとこで話せる?。」

「話し?今ここでは駄目なのかい?。」

「ここはお前の手下がウジャウジャおる。」

「さすがだねぇ。良く解っている。
いいよ、場所を変えようか。」

僕はカンをホテルの自分の部屋へと連れて行く事にした。

僕の部屋は闇の者は入っては来れなくしてあるから。











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