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vol 170:火の心
山道を登る。
炎で囲まれた場所は自然豊かな緑の山。
滝に向かって歩いていると、
行きかう人に頭を下げ、滝の近くへ。
そこは列になっている。
前方を覗くと、滝の落ちる場所に座禅を組んで滝業を。
あの人かな・・・。
坊主頭の若い人。
「ちょっとすみません。」
俺は頭を下げて並んでいる人に挨拶し前列に向かった。
「あの!不動明王でしょうか?!。」
俺が大声で滝業の人に問いかける。
滝業の人は無言で反応なし。
「あの~!。」
再び声をかけた時、後ろの人が、
「あの人は、お不動様じゃないですよ。」
「え・・・あ、そうなんですか。
すみません、不動明王にすぐに会わないといけないのですが、
どこに行けば会えますか?。」
「お不動様は・・・。」
その人の指さす方は更に上の山の天辺で、
「うわ~、結構あるな。
どうも御親切にありがとうございました。」
教えてくれた人に笑んで頭を下げ、
俺は歩いていては時間がないと、その場で灰色の大蛇の姿になる。
その場に居た人達は驚きに満ちた顔をし、
俺はそんな周りを気にしてる間もなく、
宙に浮き山の天辺へと体をくねらせた。
「・・・蛇の子か。」
「不動明王!。」
山の天辺で座禅を組んでいるこの人が不動明王。
鬼の様な形相かと思ってたけど、
マッチョな髪のツンツンした若い人。
「不動明王、私は蛇の国のチビ神と申します。」
人間の姿に変えて不動明王に話を進める。
「天の子を追って人間となった深い愛を貫く蛇の子か。」
俺は顔から火が出そうになる。
「今!今、人の世は災害が発生し、
人々が苦しんでいます!
地震に火山の噴火、水害、闇の者関係なく、
一気に地球が振るいをかけ、苦しんでいます。
不動明王、どうかお力を貸しては下さいませんか!。」
不動明王は立ち上がり、
「お前は真面目よのぉ。カンであらば、
なぁ~、なんとかしてぇ~やぁ~、
それだけであろう。」
「ぶっ!。」
カンの真似をする不動明王に俺はつい吹き出してしまい、
「我に話しを持って来たという事は、
火山だな?。」
「はい!。」
「よかろう。お主もついてくるが良い。」
そう言って、俺は不動明王と共に人間界に戻り、
噴火の場所に向かった。
悲鳴をあげて逃げ惑う人々。
噴火の山頂の上に行くと、穴の開いた下はマグマが見える。
不動明王はどんな力を見せるんだろう。
でも、。
「どうした!我が子よ。何が悲しいか!。」
不動明王がマグマに向かって叫び出した。
我が子?。
火に向かって・・・。
確かに不動明王は火の神だけど、
火に命があるって言うのか?。
「どうした・・・怒りを鎮め話してみぃ。」
ゴゴゴゴゴゴゴとマグマの中から音が鳴り、
時折火しぶきが飛び散る。
「そうかそうか。だが、それは一部の人間。
これだけ多くの人間を巻き添えにする事ではあるまい。」
不動明王に後で聞いた事。
火にも命が宿り、心がある。
静かに眠っていたところ、人間が山の木々を切り、
森に入り、動物達を殺し、
木々の悲鳴と、動物達の悲鳴で目が覚めたという。
「さぁ、我が子よ、もう良い。
心を鎮め、再び眠りにつくがよい。
再びお前のこの山に緑と命を与えるが良い。」
不動明王の話しが進むにつれ、
噴火で町に流れ込む火の流れが一気に止まり、
「風神よ!。」
不動明王が空に向かって大きく叫んだ。
「呼ばれたか、お不動。」
「うむ。すまぬが森や町の火を消してはくれぬか。」
「おぉ~たやすい。」
現れたお爺さんは、風の神で、
大きく息を吸いこんでは吐き出し、
とてつもない風が森や町を駆け巡り、
あっという間に火が消えた。
「すごい・・・。」
呆気にとられている俺に風神は、
「おや、そなたは天の子を追って人となった愛を貫く蛇の子ではないか。」
また!。
「あの~・・・そっちでは私は、
その様な呼び名になっているのですか?。」
真っ赤になる俺の背中を不動明王がバシバシ叩き、
「ハッハッハ!そうだな!
天界と黄泉の国の神の恋話は有名だからの!。」
こ、恋・・・。
火山は止まった。
結局、人の手による火の神の怒りが原因で。
自分たちだけの世界だと思ってる人間。
そして・・・テレビでは、
『イエス!イエス!イエス!イエス!。』
『神の審判が始まりました。
さぁ、私と共に神に祈りましょう!
神に救いを求めるのです!
必ず神は貴方をお救いになられるでしょう。』
民衆に囲まれたイエスとなったサタンが、
演説を行っていた。
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