vol 167:黄泉の神々の想い





「阿弥陀如来よ。」

「おや・・・これは大日如来に薬師如来。」

私の部屋に神々が集う。

「サタンはかなり心乱れている。」

「はい。彼はまだ救えるかもしれません。」

私と大日との会話がはじまる。

「しかし・・・サタンを救えど、
闇の勢力は止まらぬであろう・・・。」

「彼は神の手の中。
神が人を滅ぼされる判断であれば、
サタンは神の理想通りにするでしょう。」

薬師如来が茶を飲みながら、
私と大日の話を聞いている。

私も大日も、どう動けば良いのか悩むところ。

なるべく、サタンを信じたいのです。

神使いの心を。

「・・・カンに任せたらどうか。」

薬師如来が小さく呟いた。

「か、カンにサタンの配慮までさせるというのか!。」

大日如来は薬師如来に声をあげた。

「いや・・・もう既にあの子はそういうさだめ。
人の為、神の為、闇の者の為、
全ての感情を持つ者の為に存在している気がして・・・。」

薬師如来は俯いて眉尻を下げボソボソと話す。

「あの子はいくら天の子とはいえ、
小さな心。
我々よりも、まだ小さな心。
酷すぎる。」

大日如来はとても悲痛な表情をする。








天の子。

カン。








何百年、何千年も修業してきた、

我々と同じくらい慈悲の心を持つ子。

誰に言われたわけでもなく、

誰か一人の為でもなく、

命と言う素晴らしさを最も大事にしたい、

その想いだけで、

自ら人となり、

普通の子として育ち、

ここまで来た子。









「大日如来よ。カンはもう既に、
サタンをも愛してしまっています。
他の者と同様な愛情を注いでいます。
薬師の国でのカンはサタンの心を癒そうとしていた。
宿敵であるサタンの心を読み取り感じ、
あの子は理由を受け入れた。」

「しかし・・・あの子は人の心。
天の子である前に今は人の心。
潰れてしまわないかが、。」

そこには私は確信があった。

「それは大丈夫でしょう。
蛇の子、チビ神のかけがえのない愛があります。
そして、我々の愛も天界の愛も、
今までカンに関わって救われた者の愛もあります。
これ程の愛の量でカンが迷う事もないでしょう。」

私は微笑みを二人に向ける。

薬師如来は笑みを返した。

大日如来も目を閉じ、自分の気持ちを抑えようとする。

「そう・・・あの子はもう既に遅い。
自ら進み、それがまた我ら神の理想と同じ道。
引き止めても聞く子でもない。
自分の想いを信じ、どんどん歩いて行く。」

「そして・・・素晴らしい光に成長していっています。」

大日如来も笑みをこぼした。










カン?。

辛いでしょう。

苦しいでしょう。

胸が痛むでしょう。

それでも誰も責めず、

それでも諦めようとせず、

あなたは生きた者、死した者の全てを引き受けようとするのです。

そして我ら神の心までも。














                167       次のページ








166話に戻る
戻る

花手毬