vol 163:闇と黄泉の国





「ちょっと、カン!。」

「うるさいなぁ~。」






誰もが驚く光景だろう。

そうか?。

そうだ。

まーそうかもなぁ~。黄泉の国をサタンが歩いてるんやもんな。

絶対に闇の者には見せられないこと。

一気に反乱起こるんちゃう?。

反乱?フフ・・・そんなもの起こっても何の力もない。






幸いサタンは元神使いや。

風貌を変えるだけで黄泉の国の住人には気付かれへん。

俺はサタンの手をしっかり掴んで歩く。

文句ばっかり言うてたサタンも黄泉の国の色鮮やかな景色で、

言葉もなくし、ただただ風景を見渡しながら歩く。





「天界とちゃうやろ。」

「別物。」

「この世界は暖かい。
色も国も。」

「天界がいかに白の世界ということが解るねぇ。」

「天界は純粋な愛を求める世界や。
ここは、愛あっての生まれる人の温もりを求める世界。
どんな者でも受け入れては、大慈悲の心で包み込む。
その事に気付くまで、そっと待っててくれるんや。
ここが、阿弥陀如来の国。」






建物に入ると、修業の神達があちこちで座禅をくんでる。

「動きもせず、座って何を学ぶ。」

その者を見てはサタンは鼻で笑った。

「動く前に精神を鍛え、自分の心を知る。
自分が信じる阿弥陀の心を知るんや。」

俺も笑みながらサタンに教える。

俺の言葉をサタンは黙って聞くんや。

「天の子よ。そちらの者は?。」

「あー、天界の友達。
阿弥陀如来はいる?。」

如来の場所に行くには、弟子たちのチェックがはいる。

如来連中は誰でもオールカモンやねんけどな。

弟子にもいろんな弟子がいるから、

人間界同様に、神様様やし・・・。

「ほぅ。名はなんと申される。」

「あー!あっちやったな!。」

弟子の質問を遮り、サタンの手を強く引っ張って、

速足で無理矢理中に入って阿弥陀のいつもいる部屋へと向かう。

「天の子!待ちなさい!。」

弟子は慌てて追いかけてくる。

「サタン、走るで?!。」

「ちょ、。」

俺は廊下を走りだした。

こういうのが楽しい。

阿弥陀の部屋の大きな襖を開ける。

「おや、カン。」

阿弥陀はお茶を用意している。

湯飲みは3つ。

「阿弥陀!みっけ!。」

「いらっしゃい。サタンもよくいらっしゃいました。」

知ってたんや。

「天の子!!。」

さっきの弟子が他の弟子も連れてわんさか来た。

俺はサタンの手を引いて阿弥陀の後ろに隠れる。

「なんですか?騒々しいですね。」

「阿弥陀如来様。」

「どうしたというのです?。」

「はい、天の子のお連れの方の素性をお聞きしたところ、。」

「素性?。」

「名を名乗らぬ上にこちらに走って行ったので。」

阿弥陀は細い目を開いて弟子に言う。

「毎度お前達に申しています。
私の元に来る者は大事な私の客人。
素性などなんの意味もない。
どんな罪人であろうが、どんな者であろうが、
小さな蟻であろうが、私に会う権利があるのです。
さがりなさい。」




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