vol 160:阻止







日本で行われたチャリティーイベントへの出席。

そこには海外のアーティストも数名参加し、

日本の芸能人も数多く参加してた。

「カンさん入られましたー!。」

楽屋などもなく、衣装も私服。

本当に一切出演者にはお金が支払われない。

唯一メイクはしてもらえた。

観客としてシロと大樹と弥勒が会場にいる。

どこにおるんか、あまりの人でわからん。

イベントで何をするんか。

ただ、歌をみんなで歌う。

俺のファンも来てくれてるみたいで、

紹介されて舞台に上がったら黄色い声援が聞こえる。

「こんばんわぁ~。ども~。」

手を振って笑顔を見せて。

でも、気になって気になって仕方ない。

まだ出て来ないサタンが。

歌もうたい終わって、

軽いトークで会場が盛り上がる。

2時間が経過した。

なんや、サタンは出んのか?。

もう予定終了時間やん。

「それでは、主の生まれ変わりのこの方の登場です!。」

「主の・・・生まれ変わり?。」

この紹介に俺は唖然とした。

終わる30分前にサタンは会場に姿を現したんや。

「こんばんわ。・・・こんばんわ。」

日本語で挨拶しながら、

笑顔で現れた。

会場は異様な声援に変わる。

イエス、イエスって泣き叫び、

中には興奮し過ぎて失神し運び出される人も。

なんや・・・この光景。

お前ら・・・コイツは、。

「あー!カン!。」

サタンは俺を指さして近付くと、

みんなの前で抱きしめた。

カメラも俺達を映す。

司会者も近付き、

「イエスさん、お知り合いなんですか?カンさんと。」

イエスは笑顔で司会者に答えた。

「いえ!僕は彼の大ファンです!。」

コイツ・・・何を。

その時、

サタンは俺の耳元に唇を近づけて、

「ふふ・・・僕の手助けで、
君も名があがったね。」

「っ!!!。」

その言葉に俺は、サタンをつき飛ばそうと肩に手のひらを当てた。

(カン、なりません。
誘いにのってはいけません。)

声が頭の中に響き渡る。

(ここでつき飛ばせば、今までの苦労も水の泡。
抱きしめるのです。)

なんやろ。

何も考えられんかった。

ただ、言われるがまま肩の手を背中に移動させて抱きしめた。

「ちっ!。」

サタンが舌打ちをする。

俺の頭上を睨みつけて。

俺は強く強くサタンを抱きしめた。

「なぁ、サタン。愛してるで?。」

サタンは目を見開いて俺から逃げるように離れる。

イベントも終り、その後にサタンに会うことはなかった。

大樹たちに合流して泊まるホテルへ。

「阿弥陀如来が見えたが、何か言われてたのか?。」

弥勒の問いかけで自分の気持ちを落ち着かせたのが誰か解る。

「阿弥陀・・・やったんか。」

「え?カン、気付いてなかったの?
カンの後ろに沢山の如来や神々がいたよ。」

「え?。」

そう、この時、サタンが俺から離れたんは、

俺の言葉と共に沢山の神々が俺の背後からサタンを見てたから。

俺はサタンに言われた事、

それに対してカっとなってつき飛ばそうとした事を話す。

「なるほどなぁ。」

「あの司会者の紹介・・・俺、堪らなかった。」

悔しそうな顔をする大樹に俺は眉尻さげて大樹の手を握った。

「・・・サタンの企みも成就しなかったというわけだ。」

シロがTVを見ながら会話に入った。

「そこでお前が怒りを露わにすれば、
大勢の世界中の人間に見られてしまう。
皆の中ではサタンではなく、
主の生まれ変わりイエスの他何者でもない。
お前はバッシングを浴びて先に進めなくなるところだった。」

「・・・そうか。」

ここで初めてサタンのやろうとしてた事がわかった。

それまでは何も考えられんくて・・・。

弥勒が笑みを浮かべ、

「シロはそれを察知して直ぐにあの世に行って、
大声で叫んで神々を集めたんだぜ?。」

「え・・・えぇ~!。」

「そうそう。サタンが登場して直ぐに、
おかしい、おかしいって言ってさぁ~。
サタン、ずっとカン見てたんだって。
何かしでかすって予測したみたいだよ。
なぁ?シロ。」

「シロ・・・。」

TVを見ているシロの顔が真っ赤に染まっていく。

俺は立ち上がるとシロを後ろから抱きしめ、

「シロ~!なんや!なんやねんおまえ~!。」

「な!な、なにがだ!。」

真っ赤な顔で慌て俺を引き離そうとするシロに、
俺は離れることなく。

「もぉ~!もぉ~!。」

「おまえは牛か!うるさい!離せ!。」

「はは、シロ照れすぎだろ。」

「あはは、シロはこういうの慣れてないからね。」

「シロ~、ちゅうしたる!。」

「や、や、やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!。」



シロもまた、いつの間にか、

俺達の大きな戦力になってた。











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