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vol 159:兄弟
「なぁ・・・。」
店内はガヤガヤしている。
久々のカンとのデートは中華料理にした。
「ほら、熱いから冷まして食べろよ?。」
「なぁ・・・って。」
「何?カン。」
俺はキョトンとカンに向く。
カンは眉間に皺を寄せては俺を睨みつけ、
「デートと違うん?。」
「え?デートだけど。」
「・・・これのどこがデートなん?。」
口端を引きつらせながら、
俺の隣に座るシロを指差した。
シロは黙々と料理を美味しそうに食べている。
「仕方ないだろ。今日は弥勒も出かけてるんだから。
シロ一人にしておけない。」
カンはテーブルに肘をついて頬杖し、
「あのなぁ~大樹。
シロは、見た目は子ども!中身は大人!・・・やねんで?。」
どこかのアニメの台詞のように言うカンに、
俺は吹き出して、
「あはは、そうだよなぁ。
でも、一人にしておけないよ。」
笑顔でそう言うと、カンは黙りこむ。
周りから見れば、
俺達兄弟をブラコンって思うかもしれない。
でも、幼い頃は俺の後ばかりついて来て、
大人になっても俺の後ばかりついて来てたシロを、
俺は愛する人を追って人間になった。
シロは猛反対してたのに、
それを納得もさせないまま。
あの世で大人になったシロは、
笑顔も出せない、プライドの塊になってしまった。
父親のいない兄弟にとって、
俺がいろいろと教えてやらなきゃいけなかったのに。
またシロは俺を追って人間界へ。
「ほら、シロ?口にいっぱいついてる。」
シロの世話ばかり焼く俺にカンは不服そう。
あまりない休みの、せっかくのデート。
「シロ!おまえ自分で口ぐらい拭けや!。」
「・・・我が拭こうとしたら兄様が先に拭いたのだ。」
「こ、んのクソガキ・・・。」
こうやって、シロの態度にカンはすぐ怒る。
犬猿のような仲なんだけど、
この後ゲームセンターに行くと、
「なははは!。」
「ぬぅぅ。」
二人してゲームに没頭。
この間、俺は椅子に座って二人を見てる。
「ちょ!シロ!。」
「・・・。」
「ボーリングの玉は投げるんやなくて、
下から転がすんや。」
ボーリング場では、カンが指導し、
シロはカンの説明を聞いては真似をする。
結局、後半はいつもこう。
カンとシロがべったりになって、
それに俺が嫉妬してる。
「こいつ、また太ったんちゃうかぁ?。」
眠ってしまったシロをカンがおぶって家まで歩く。
「成長期だからだよ。」
「よりによってなんで子どもで降りてきたんや・・・。」
「大神がさ、。」
「大神?。」
「うん。母さんがシロに子どもから学ばせたかったんだよ。
いかに俺ら神が恵まれて育ったか。
人の子は我慢が多いから。」
家に着くとシロをベッドに寝かせて、
珍しくカンから、
「大樹、一緒に風呂はいろーや?。」
誘ってきた。
風呂に入ってカンの髪を洗ってやる。
「ねぇカン?。」
「んー?。」
「シロのシャンプーハットやめてってば。」
「あっは!俺もちっさい頃ようこれで洗ってもうたわ。」
俺に振り向くカンは可愛くて、
「ほんと、カンは面白い。」
唇を重ねた。
その後、そのまま抱き合って、
一緒に湯船に浸かる。
俺に凭れるカンを後ろから抱きしめて。
「疲れた?。」
「・・・せっかくのデートやったのに。
最近、二人ないやん。」
「はは、そうだね。
ごめんね?。」
「まぁ・・・でも、最終はこうやって出来るからえぇけどな。」
きっとカンは俺の気持ちなんか、
簡単に見透かしてる。
実際それ程、シロが一緒な事が嫌じゃないのに、
そう言うと俺が喜ぶから。
一番子どもなのは俺なんだ。
俺はカンを癒し守らなきゃいけないのに。
たくさんの想いを背負っているカンを。
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