vol 153:白狐神






弥勒が俺に近付いてきて、
頭を叩く。

「いったぁ~!。」

「全くお前は!一人で勝手にしてんじゃねーよ!
バカ野郎が!。」

「本当にすみません。
迷惑かけませんでしたか?。」

大樹は白狐に謝ってる。

(何故だ・・・何故結界を破る事が出来た!。)

着物の狐が叫び出した。

俺はそいつに言う。

「ハッ!あったりまえやんけ。
小角が来てるんや。
どんな結界であろうが破れる。」

ふふんって自慢げに言いながら、

「せやけど、小角・・・呼び出したんか?。」

「あぁ。俺も専門外だしな。
破る事が出来なくて役小角を呼んだんだ。」

弥勒は小角に会釈した。

(カンよ。また力になれて光栄だ。)

「小角・・・。」

役行者、役小角。

(お前ら!何故邪魔をする!
同じそこの者は狐ではないか!
人間に思うがままにされて死した我らの気持ち解るであろう!。)

着物の狐は白狐に想いを叫ぶ。

「同じ・・・狐だ?。」

弥勒は顔をしかめた。

「白狐よ、なぜ本来の姿をしない。」

弥勒は疑問を白狐に問う。
白狐は前へ出ると、着物の狐に話しかけた。

(何故あなたはそれ程までに欲にかられるのです。
生きて人に苦しめられたのであれば、
死して自由になれたではありませんか。
人の姿になりたければ、
修業をすればこの世界で人の姿にもなれます。
生きた魂と死んだ魂の交わりが、
成功するとでも本当に思っているのですか?。)

(・・・生意気な狐。
お前らが何者かは知らぬ。
邪魔をするのであれば、あの世の此処で、
魂を呪縛し、お前らの肉体、
我らがいただこうではないか。)

着物の狐は嫌な笑みを浮かべた。
周りの狐が狐火に姿を変えて、
着物の狐に集まりだす。
着物の狐も狐火に姿を変え大きな狐火の玉になった。

「うぇ~。一人じゃちっさい力でも、
集まったらこれやもんなぁ~。」

「カン、関心してる場合じゃないよ!。」

大樹が俺の腕を掴んで自分に引き寄せた。

さぁ、どないする?。

相手は聞く耳もってないようや。

白狐は俯いて顔をゆっくり左右に振った。

(情けない・・・情けない。)

「白狐・・・。」

狐火は狐の顔の形になって、

(アーッハッハッハ!
怯えておるのか?!。)

この言葉に俺は、プッツンくる。

「・・・あぁ?。」

「大樹、カンを押さえとけ。」

「うん。」

「なんや!弥勒、あんな態度許しとくんか!。」

弥勒は目を細めて狐火を見てる。

「俺らよりも、嘆いてるのは白狐だ。
白狐に任せようじゃないか。」

白狐。

(手も足も出んのか!人間共よ!
ならば、我々に伏せよ!。)

狐火の顔が大きく口を開け俺らに向かって来た。
冷たい風が、ぶわっと俺らに向かってきた時、
白狐が大きな体に姿を変えて口を開け、
真っ白な煙のようなものを口から勢いよく吐き出した。

(ギェェエエエエエエ!。)

狐火は悲鳴をあげて、
白い煙に巻かれる。

白狐は普段の姿、
白い毛に9個の尻尾。

白狐は体を普通のサイズに変えて、
俺らに背を向けた状態で座る。

(あれは・・・。)

(あれは、白狐様だ!。)

(白狐様・・・。)

(白狐様・・・。)

狐火のそれぞれが口にし、
大きな狐の顔は崩れていくと、
普通の狐の姿になって白狐の前に座り頭を下げる。

「・・・なぁ、弥勒。」

「あー?。」

「なんで、あいつら白狐ってわかったら、
頭下げてるんや?。」

「当然だろ。
9個の尻尾を持つ白狐は狐神の中でも最高神だからな。」

狐神の・・・最高・・・?。

「えぇええええええええええええええええ!!!!。」



俺は白狐と付き合って、初めて、
白狐が最も力のある神ってことを知った。

この時・・・はじめて・・・。

「カン・・・お前ほっんとにスゲーよな。
位も何も全くおかまいなし。」

弥勒のこの言葉が俺の礼儀の無さを物語る。












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