vol 148:友達の狐





その場に正座をして胸の前で両手の指を折り曲げて、
それを合わせ目を閉じる。

けして声を出すわけやない。

神経をあの世の狐に集中させて呼ぶんや。






狐神・・・狐神、

カンや、どうか来てください。





この言葉があの世に届くと、

何かない限り来てくれる。






「来たな。」

弥勒が呟いた。
部屋の空気が一転し少し重くなる。
動物の霊や神であろうと、
独特の気を持ってるんや。
そんで、呼ぶ時の独特の手。

目を開けたら俺の前に白く尻尾が9こある狐が座ってる。

「おう。呼び出して悪かったな。」

その狐を見て弥勒が驚いた。

「ちょ、カン!。」

「あ?。」

「お、おまえ・・・狐の友人って昔・・・、
黄色の狐だったじゃないか!。」

「んー?そやけど、こいつも友達になってん。
今、俺の仕事で力貸してくれとる。」

弥勒は唖然としてる。

「その方・・・誰かわかってるのか!。」

「・・・知らん。」

弥勒の反応に理解出来んかった。

「その方は、狐神の中でもすごく徳の高いお方。」

「はぁー?何言うてんのかわっからん。」

大樹が俺に顔を近づけて小声で教える。

「つまり、狐神の中でも偉い人だよ。」

そこで初めて意味がわかった。

「え?そうなん?。」




(カン・・・どうしました?
何用ですか。)

白狐が話しかけてきた。

「あ、あぁ。あんな?。」

俺の話し方に弥勒は顔をしかめて頭を掻いてる。
身分をわきまえてないからや。

「今、狐の中で人間に子を産ませようとしてる奴ら知らん?。」

(人に子を・・・我々がですか?。)

「うん。」

エリさんから聞いたことを話す。
エリさんには白狐が見えてへんようや。
俺が一人で会話してることを不安そうに見とる。

(・・・話しは解りました。
我らもあの世の国は同じ場所、しかし、
この世に住む者はいろいろな場所に分かれ数多くいます。
その者はどこか神社に行かれましたか?。)

「エリさん、最近・・・ちゅーか、
おかしな事ある前に神社とか行った?。」

彼女は考えてから言葉を告げる。

「いいえ。神社には行ってません。」

「行ってへんて。」

(目を付けられた何かの根源があるはずです。)

「んー・・・。」

話しを聞いてた大樹が問う。

「良く通る神社とか、小さい頃から連れて行かれるとことか。」

エリさんは心当たりを探してる。
白狐が体を伸ばすように彼女のとこに移動して、
彼女に入り込んだ。

ハッとした表情と共に白狐が体から出てくる。

「うち、両親がお店をしていて・・・、
家の居間の角に小さい鳥居を飾ってて。
年に何回か両親は神社に行きます。
でも・・・私は・・。」

「両親のその祀ってるの、お稲荷さん?。」

「わかりません。」

白狐に視線を向ける。

(確かにこの者、我々と同じ匂いがします。
カン、私はこの者の家の入り口より、
主の元へ参ってみましょう。)

白狐はエリさんの家に祀られてる鳥居から、
その神さんの場所に行く言うてくれた。

「うん。任せる。
困ってるみたいやし・・・ホンマやったら、
承諾なしでこないなこと間違ってる。
頼むわ。」

白狐は小さく頷いて姿を消した。







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