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vol 147:狐憑き
「どうぞ?。」
大樹が紅茶を出す。
彼女の名前はエリさんらしい。
弥勒に連れられて家に来た。
「狐の夢?。」
「あぁ。彼女とぶつかった時に足元に狐がいた。」
「子狐か?。」
「いや、普通の狐だな。
その、毎日見る夢の内容、教えてくれないか?。」
弥勒が彼女に問いかけた。
「・・・はい。
はじめは夢だと思うんですが、起きていて・・・、
でも、ベッドに寝てたんです。
そしたら、人の形をした黒い影のようなのが覆いかぶさってきて、
体を触られました。」
言いにくそうに言う彼女。
「触られたってどんな感じでなん?。」
「え?・・・胸・・とか。」
大樹が俺の隣に座って肘で察しろ言うかのように、
睨みながら腕をつつく。
「感触はあった?。」
彼女は小さく頷く。
「怖くなって嫌って、重い手を振りかざしたら、
両手首掴まれてニヤって笑って消えたんです。
すごい力で掴まれて・・・。」
「うん・・・。」
「それからは夢なんです。
知らない男の人が出てくるんですけど、
まるで彼氏な感じで。
必ず迫ってくるんです。
その・・・体を。」
「全部、性的なってことか?。」
「はい。必ず最後には狐が出てきます。
昨夜見た夢は、
私が好きな芸能人が、また彼氏のような感覚で出て来て。
好きな人だから嬉しかったんです。
でも、深夜に神社に私、居て・・・。
そこに彼が出て来て、こっちって手招きされて部屋に行くんです。
自分達がいる周りは明るいのに、
部屋の四隅は暗くて、まるでロウソクの光の中にいるみたいで。」
「せやけど、また男は迫ってきたん?。」
「キス・・・されて・・・。
でも、好きな人だから嬉しかったんですけど・・・、
最終的にはやっぱりおかしいって思って、
拒んで逃げたんです。
暗い廊下を歩いて外に出ると神社の中で・・・。
そしたら・・・。」
彼女が小さく震えだした。
脅えた表情になって。
「そしたら、神社の境内に1列に狐が並んでるんです。
着物を着て・・・でも動物の狐で。
私に言うんです。
我々は子孫が欲しいって。」
「はぁ?狐が人間の君にそんなこと言うたん?。」
「はい・・・。
そこで目が覚めて・・・、
狐を見るようになってから毎日が体がだるくて、
朝もちゃんと起きられなくて。
微熱がずっと続いてて。」
深刻そうに話しをしては、
不安を滲みだす。
「カン、お前、狐神と仲いいだろ。」
「え、まぁーなぁ。」
「呼び出して探ってくれないか。
このままだと、この子、気がおかしくなっちまう。
解決してやらねーと。
狐憑きだとして、
人間の女に子孫って・・・。」
「・・・。」
そこに引っ掛かる。
大体、なんでそんなん・・・。
「カン、探ってあげなよ?。」
大樹は彼女の不安感をしみじみ感じて、
同情心まんまんや。
「あーー、もう!
わかった。呼び出す・・・。」
俺は、自分の友人の狐を呼ぶことにした。
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