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vol 146:狐の夢
俺の気付いた事をカンや弥勒達に言うまいか・・・。
その事に答えが出ない。
煙草を買うのに夜、家を出て思いに耽りながら歩いていると、
人にぶつかった。
「あ、すんません!。」
慌てて謝って顔を見ると、
目の前の女性の顔は青褪めていて、
足元には狐がいた。
「狐・・・。」
俺が呟くと、女性はその言葉に目を見開き、
脅えた顔でガクガク震えだす。
「君・・・大丈夫?。」
「ぁ・・ぁ・・・。」
言葉も出ない様子で女性は俺の前で泣きだした。
俺はしゃがみウロウロする狐を見て、
(この子に何をしてる。)
話しかけるも狐はジッと俺を見て姿を消した。
女性を立たせて近くの公園に連れて行き、
ベンチに座らせる。
「狐って言ったら震えだしたけど・・・、
何か心当たりでもあるのか?。」
女性は顔を伏せたまま黙りこんでいたが、
ゆっくり言葉を吐きだした。
「あなた・・・狐って・・・。」
「・・・君の足元に狐が見えたんでね。」
「っ!!!。」
「あ、いや、もう消えた。」
女性は狐の存在に体を跳ねさせて再び脅えるも、
消えたと言えば再び顔を伏せる。
「わたし・・・夢を見るんです。
もう毎日。場面が違っても同じ内容で・・・。」
「狐?。」
「はい・・・必ず狐が出てくるの。」
「狐は何か言ったりするのか?。」
「・・・子孫が欲しいって。」
俺は顔をしかめた。
狐が人間の女に子孫だと?
この内容だけじゃわからねぇ。
「坊主なんだ俺。お坊さん。
霊媒もやったりしているんだが、金は要らない。
君が狐に憑かれてるのは確かだ。
近所に住んでるんだけど、
ゆっくり話しを聞かせてくれないか?。」
普通なら、夜にこんな事言われれば、
おかしな男扱いだろうが、
彼女は病んでる。
そして、話してもいないのに狐と言われた。
不安そうな顔をしているも、
彼女は家に来ることを承諾し家に向かう。
狐と言えばカンだ。
あいつは狐神に友人がいるから。
昔、俺の仕事でついて来た時に、
狐絡みで、カンはすっかりその時の狐共と、
仲良く友情を築いている。
内容を聞き、必要とあらばカンに探りを入れてもらうか。
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