vol 140:楽屋






日本でのチャリティーイベントが進み、
その宣伝でTVに出演する。

「あ~緊張したぁ~。」

楽屋に戻って椅子に項垂れる俺に、
付き添いの大樹が冷たいお茶のペットボトルを手渡してくれた。

「お疲れ様。」

大樹は俺のマネージャーやないから、
スタジオには入られへん。

「大樹、お前がついて来るのはわかるねん。
せやけど・・・なんでこいつまで!。」

大樹は俺と一緒に仕事をしたがってるし、
ついて来たい気持ちはわかる。

けど・・・シロ!

「だって、シロ一人、家に置いて来れないだろ?。」

「み、弥勒がおるやんけ!。」

「弥勒はバタバタしてて頼めないよ・・・。」

子供になったシロは黙々とお菓子を食いながら、
大樹はまるでお母さん。

せっかくの東京やし、
大樹とデートとか考えてたのに・・・。
これやったらホテルまでシロと一緒やん。

「はぁあああああ。」

「・・・でかい溜息だな。」

「誰のせいや!。」

「我に何故文句がある。」

「どうせ人間に生まれてくるんやったら、
立派な大人の姿で生まれて来いや!。」

「・・・ふっ。」

シロの不敵な笑みにキレそうになる。

「ねぇ、カン。さっきから、そこに女の子がいるんだけど。」

「え?。」

大樹が指差す方向に目を向けた。
楽屋の隅に女の子がうずくまってる。

霊や。

「話しかけていいか解らなかったし、
テレビ局って多いって聞くからそのままにしてたんだけど、
やっぱり気になって。」

「・・・。」

俺は椅子から立って女の子の前に行く。

「この楽屋に何か用?。」

女の子に問いかけたら、
女の子の手首から血が流れ出した。

(死のうと思ってたわけじゃないの・・・。
ただ・・・みんなにもっと注目されたくて・・・。)

か細い声で呟き、
手首から流れる血は女の子を囲むように血溜まりになる。

自殺者や。














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