vol 138:誕生日







5月29日。

それは、俺の人間として生まれた日。

その日は生憎、仕事で泊まり。

スタッフや職場関係の人、ハランに祝ってもらい、

恋人からメールが来てた。

それに返事を出来たのは日付がとうに変わった時間。

メールを送ると、電話がかかってくる。







『もしもし、カン?。』

「あー大樹?ごめんなぁ、遅くなってもーて。」

『ううん。みんなお祝いしてくれた?。』

「いつもの飯にケーキで、わー!みたいな?。」

『あはは、いいねそれ。』




明るい口調の大樹やけど、

寂しさも伝わる。





「弥勒とかは?。」

『居るよ。シロは寝た。
帰って来たらお祝いしようかって言ってる。』

「お祝い~、プレゼント楽しみ~。」

『もう、買ってある。
でも、1週間長いな・・・ホント。』

「・・・うん。
大樹、会う?。」

『え?。』






俺らの特別な能力。






「いつもの湖で待ってる。」







黄泉の国の蛇の国にある湖。

何かあれば、良くここで二人で過ごしたなぁ。

ベッドに入っては意識をすぐに、その場所に集中させ、

女の体になって湖に行く。

「カン!。」

大樹は直ぐに居て、柔らかい笑みを見せる。

「大樹。」

俺も笑むと大樹に抱きついてお互いを求め合う。

ひとしきり抱き合った後、

草のベッドの上で二人で横になってた。





「カン・・・誕生日おめでとう。」

「・・・あぁ、うん。」

俺は思う。

「人間になっていろんな事あったけど、
ほんまに人間になって良かったって思うねん。」

「・・・うん。」

「大樹・・・いつも側に居てくれて、
ありがとうな。」

「カン・・・。」

「これからも、ずーっと、一緒におって?。」





甘い時間が流れる。

あの世の時間は人間界の時間とは異なってて、

早いんだ。

せやけど、人間界の時間はあの世にくらべたら遅い。

長い時間あの世で二人で過ごした。

人間界に戻っても2時間程度しか経ってない。

大樹の言葉が胸に残る。






「勿論。俺はずっとずっと、カンと共にいる。」













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