|
vol 137:想い
仕事を辞めて毎日家に居る。
シロと一緒に。
「シロ、いい加減に食べてないで手伝えよ。」
お菓子を食べながらテレビを見るシロ。
俺は洗濯物を取り入れる。
兄弟でこんなに二人で過ごすのは初めてかもしれない。
カンが毎日やっていたことを俺が今している。
本を見ながら夕飯を作ったり、
掃除、洗濯。
そして、弟の世話。
「兄様、こうするのか?。」
「うん、そうだよ。あ、でもここも折り曲げて。」
一緒に洗濯物を畳む。
初めてするシロに畳み方を教えながら。
「シロの洋服も買わないとね。
お前、すぐ太るから。」
「人間というものが、如何に贅沢か思い知るな。」
「贅沢?。」
「人間にならねば、この様な美味なる物を食べることもない。」
シロはチョコレートを見つめて呟く。
「ぷっ。そうだね。
食べておいで?。」
明るい表情で笑んでは食べに行く、
小さくなった弟。
平和そのものに見える日常。
これが永遠に続けばいいのに。
そう感じる午後。
「ただいま。」
弥勒が帰ってきた。
「おかえり。」
カンは遅くなる。
「サタンが来日する。」
ソファーに座るなり弥勒が呟いた。
「サタンが・・・日本に?。」
「あぁ。新聞にも載ってる。
必ずカンに接触してくるだろうな。」
「・・・。」
サタンのカンへの執着。
本音を言わなくても、全て読まれ、
本当に言われたい言葉を言うからか。
カンは真っ直ぐで優しい。
神のように清らかで愛に満ちている。
神から愛されたかったサタンは、
それをカンに求めているんだろうか。
カンからメールが届く。
愛してるって。
俺だけに注がれる愛。
サタン、
俺からは奪えない。
けして奪えない。
137 
|