vol 134:考え





毎日のマスコミからの電話に訪問。

「うわ・・・戌尾カン、子持ちだってよ。」

新聞に書かれた見出しを目を丸くして読む弥勒に、
俺は溜息を吐いて煙草を吸う。

「子供て・・・シロの事か。
ほんま、裏ちゃんと取ってから書け言うねん。」

「ハハ・・・まぁー、サタンのおかげで、
えらい迷惑だな。」

「笑い事ちゃうわ。」

笑って新聞を畳む弥勒に呟くように言い、
新聞に載せられた自分の写真を見つめた。






「カン、おつかれ。」

「おう。」

俺のアニメの声優を引きうけてくれた韓国人のハランと、
アニメ雑誌のインタビューを受ける。

それも、終わってんけど、
いろんな視線を感じるみたいで精神的に疲れてる。

「なんか、疲れてますか?。」

ハランが缶コーヒーを手渡しながら問いかける。

「お、サンキュー。
んー?まぁー・・・ちょっとなぁ。」

用意された楽屋の椅子に座りながら、
ハランは隣に腰掛け、

「テレビでカンのことやってた。
それと関係ありますか?。」

「・・・なんで、違うことを憶測で堂々と書けるんやろか。」

「マスメディアはそういうもんだ。」

「電話もずーっと鳴ってて、
外には車の中にカメラ持った奴おるしな・・・。」

「あー・・・わかります。
僕も何年もされてるから。」

ハランは有名な韓国の歌手で、
日本でも莫大な人気や。
今でもそうやけど。

「辛くない?!。」

顔を上げてハランを見つめたその表情は、
眉もめいっぱい下がった情けない表情で、

「辛かったっすねぇ。
でも、なれるよ。
そのうち、マスメディアよりファンの方が酷くなる。」

柔く笑んで俺の肩に手を乗せるハランの言葉に、
この世界特有の必ず起こる出来事やって思えたら、
気持ちが楽になった。







「マネージャー、チャリティーイベントやりたいんやけど。」

「チャリティーですか?。」

「うん。時間作ってもらわれへん?。」

「チャリティーイベントに参加されるって事ですか?。」

「いいや。俺が主催するんや。」








サタンから遅れた奉仕活動。

アイツは、どんどん名を広めて、

どんどん人々の信頼を勝ちとってる。

その信頼を、どういうふうに絶望へと導くんかは、

俺には予想も出来へん。

どっかで、ボロを出すって踏んどるけど、

そん時に、どんだけの人間が気付けるんやろか。

有名人集めておっきなイベントをやったら、

金も注目もおっきくされるやろう。

けど・・・、

まずは俺一人でやるべきや。












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