vol 130:行けない理由




「う、うわぁ!。」

「よぉ~、おっさん。
そんな子供、どこ連れてく気ぃやぁ?。」

「この人は君のお母さんの知り合いじゃないよ。」

カンが男を地面にねじ伏せさせ、
兄様が童子を車から連れ出す。
弥勒は肉体に戻り、携帯で警察を呼んだ。

「お、俺は何もしてない!
離せ!離せ!。」

男が暴れる。

「何も?へぇ~。
おっさん・・・俺なぁ、幽霊が見えるんよ。」

「へ?。」

「おっさん何人殺したんや?。」

「・・っ!
し、知らない!俺はそんな、。」

「壁の中・・・パンツやらちっさい子の。」

「な・・・なんで、。」

「なんで知ってるんって?
言うたやん。俺は幽霊が見えてな?
んで・・・お前を掴まえてくれっちゅー・・・な!。」

「ぐはっ!。」

カンは男の顔を勢い良く殴りつけた。

サイレンが鳴り響く。

警察が現れ、弥勒は内容を説明する。

「俺達が歩いてたら男が声かけてまして、
ほら、最近テレビで誘拐で子供の死体が出たって見たから。
まさかとは思ったんですけど、
やたら女の子に声かけてたから。
そうしたら車に連れ込んだんで掴まえました。
他にも3人殺したとか・・・壁に何か隠してるって、
叫んでましたよ。」

弥勒の言葉に警察は大きく反応し男を連れて行く。
一緒にいた幼児も警察に保護された。







それから2日。

まだ、童子はあの世に行けず、

我と共にカン達と過ごす。

『小学生連続誘拐事件の犯人が逮捕されました。
容疑者の家の壁から被害にあった子供の衣類が発見され、
DNA検査も一致したとのことです。』

「おー、やっと決まったか。」

夜のニュース。

「2日って、時間かかったね。」

「まー、ちゃんと調べあげてからやないとなぁ。」

「警察も不祥やらなんやらが怖いだろうしな。」

(あ!。)

カンの膝に座っていた童子が声を上げた。

「ん?どないしたんや、なな。」

(ママが・・・ママが、ななちゃん悪い人捕まえたよって。
もう、大丈夫だよって。)

「シロ・・・黄泉の国に行けるんじゃないか?。」

弥勒の我への言葉にカンは、

「あー!そっか!解った。
母親は、ななが悔しがってるって思ってて、
犯人が掴まってない間は、なながあの世にも行かれへんて。
その母親の想いが強すぎて、ななが昇られへんかったんや。」

「そういう事か。
シロ、試して?。」

兄様の言葉に我は頷き、
ななの手を取り上へと意識を巡らせる。

我と共にななの体も浮いた。

「お!行けるやん!。」

「わー!良かったぁ。
ななちゃん、また遊びにおいでね。」

(うん!おにいちゃん達ありがとう。
ばいばい。)

そのままあの世に向かう。
阿弥陀の国。

(なな!。)

(・・・パパ・・・ぱぱぁ~!。)

童子の父親が迎えに来ていた。

「シロよ。御苦労様。」

我の横に阿弥陀如来が現れる。

「・・・阿弥陀如来。
我は、自分の行いが良く解りませぬ。」

毎回の出来事に、疑問しか感じぬ。

「シロよ。それで良いのです。
そなたが感じた想いに逆らわず歩みなさい。
自ずと見えてくるでしょう。
歩みなさい。
惑わされず、己を信じて。」















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