vol 128:良き判断





事が動き出すのにそう時間はかからなかった。

朝を迎え兄様は仕事に出かける。

カンはまだ寝ている。

弥勒も部屋から出てこない。

(シロちゃん・・・なな、アニメ見たい。)

「し、シロ・・・ちゃ、ん!!!。」

この様な幼い童子に我がシロちゃんだと?
蛇の国、大神の子である、我を!。

(ねー、シロちゃん、テレビつけて?)

童子は我の着物をグイグイと引っ張り、

その姿が愛らしく見えた。

テレビのリモコンとやらのボタンを押す。

(わぁ!なな、触れないのに!
やっぱり、シロちゃんはすごいね~。)

そう言って笑んではパチパチと拍手をされた。

童子がアニメを見ている間、

我も隣で見ていた。

猫がねずみを追いかけている。




(白蛇神様、貴方様がいったい何を。)

その声に振り向くと1匹の年老いた蛇が廊下をうねりながら、
近付いて来た。

蛇は人間の年寄りの姿になり、

(蛇の国の王になられる貴方様が、
忌々しい人間の案内人などど。)

「・・・見知らぬ顔だな。」

とはいえ、我は今まで蛇の国の者たちの事でさえ、
顔も見ず無関心であった。
見知らぬ顔の者の方が多い。

(私は蛇の国で大神の使いをしていた者でございます。)

「大神の?その様な事は初めて耳にするが?。」

老蛇は軽く笑い、

(ホッホッホ。私は陰の者。
大神の陰としてお側におりました。
私の存在を御存じなのは大神だけでしょうなぁ。)

大神が陰の者を?
何故。

(白蛇神はチビ神と違い、
厳格の有る立派なお方。
その方が何故、人間の案内など。)

老蛇の表情に我の心はザワついた。

蛇を見た目で嫌い、邪険にし、
我々の住処を奪い、
この地球の命すら奪っていく人間。

その人間に我はなりたいと思い、
その人間の面倒をみている。

(白蛇神様、天の子は所詮異国の神。
その色香に兄様は騙され、
阿弥陀様や全ての神々までもが、
天界の神に騙されております。
今まで、我々を神と認めなかった天界の神が、
おかしいとは思いませんか?
手のひらを返したように、
我々を神と認め、共に手を結ぼうなどと。)

「・・・。」

(白蛇神様、兄様はもう天の子の虜となられておる。
貴方様が蛇の国を統一されなければ、
誰がなさいますか?
大神はあの様なお方。
慈悲のみでは国はまとまりませぬ。)

「ふぁ~・・・よう寝た。
いや、寝過ぎたぁ~。」

カンが起きて来た。

(白蛇神よ・・・、
良き御判断を。)

カンが現れた事に老蛇の気が乱れた。
そして呟いては姿を消す。

「シロ?・・・おい、どないしてん?。」

カンは異国の神。

天界の神の子。

我々黄泉の国の神々の存在を認めなかった、

天界の神の子。

幾年も天界と黄泉の国は離れていた。

だが、今では天界の神は我々を認め、

協力を求めてきた。

蛇の国の大神の子の我が、

人間の案内人・・・。











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